刑事実務基礎

刑事実務基礎No.5[解答編]/司馬遷の言葉(2)

 


・人間関係は、人生で一番、難しい。このことにたけた人は、幸せ者である。中国の哲学者・司馬遷は、鋭く述べている。

<司馬遷の言葉(2)>
「士は、己を知る者のために死す」

・自分の理解者には、生涯、友好な気持ちをもつものである。時には、死さえいとわず尽くすことだって、できる。そんな相手をもつと、最高の人物になる。

では、昨日の問題の答えを、示します。


刑事訴訟実務基礎テストNo.5[解答編]

参考文献
司法研修所刑事裁判教官室・「プラクティス 刑事裁判」(法曹会・平成27年)
梓澤和幸・「リーガルマインド」(リベルタ出版・平成26年)
スク東先生・「スク東先生ブログ」(スク東先生・平成28年~)

次の記述について解答せよ。なお,刑事訴訟法名は省略する。

【問➀】公判前整理手続において検察官が提出する証明予定事実記載書には,どのような事実が記載するものとされているか。
【解答】検察官が公判期日において証拠により証明しようとする事実である。
【問②】公判期日において,検察官が証拠により証明すべき事実を明らかにする行為を何というか。
【解答】冒頭陳述(冒陳)
【問③】検察官が冒頭陳述を行う際,(1)証拠の具体的な内容を引用することはできるか。また(2)証拠の評価を議論することについてはどうか。(1)(2)それぞれにつき,理由を付して解答せよ。
【解答】(1)証拠の具体的な内容は原則として引用すべきではない。冒頭陳述は,争点が的確に把握できるように,事件のあらましと立証方針を分かりやすく示し,これから始まる証拠調べのロードマップを示すものである。そのため,冒頭陳述は,そこで心証をとるようなものであってはならないのである。
(2)証拠の評価について議論してはならない。冒頭陳述の目的は上記(1)の通りであり,論告や弁論と異なり証拠調べを終えていないのだから,証拠の評価を議論することはできないのである。
【問④】殺人未遂被告事件について公判前整理手続が行われ,被告人の被害者に対する殺意の有無が争点とされた。争点について整理された具体的な内容は「被告人が包丁で被害者の腹部を突き刺したのか,それとも被害者が被告人の腕をつかむなどしたために被告人の包丁が被害者の腹部に刺さってしまったのか」である。
その後,被害者が証人として召喚され公判期日に出頭した。被害者に対する証人尋問の主尋問において,検察官が,証人に対し,「被告人に刺された直後,被告人の腕は伸びていましたか。」と尋問した。弁護人は,この検察官の主尋問に対し,どう対応すべきか。
【解答】弁護人としては,尋問された直後に異議を申し立てるべきである。「被告人の腕が伸びていたかどうか」は,刺す勢いの強さに関連するもので,被告人が腹部を突き刺したか否かの判断を左右するため,争いのないことが明らかとはいえない。したがって,検察官の主尋問は,誘導尋問として許されない。
【問⑤】上記④の検察官主尋問において,検察官が,証人に対し,「証人が被告人に腹を突き刺された際,被告人の顔はどちらを向いていましたか。」と尋問した。この尋問は許されるか。理由と共に答えよ。
【解答】許されない。本問の尋問は,殺意の存在に関わる「(被害者の)腹を突き刺した」という事実を,あたかも実際にあった事実であるかのように仮定し,これを前提にする尋問であり,証人を錯誤に陥らせる誤導尋問に当たる。
【問⑥】316条の15が規定する手続については,「類型証拠開示」「防御側の請求による開示」あるいは「検察官請求証拠以外の証拠開示」等の略称がある。この略称に対し,「理解のために妥当でない。検察官請求証拠の信用性に関する証拠と呼称すべきだ。」との主張がある。この主張を支える根拠は何か。
【解答】316条の15に規定される手続の目的は,検察官請求証拠の証明力を判断するために必要な証拠を開示させることにある。上記略称では,316条の15が目的とする内容が示されていないため,同条を正確に理解することができないという弊害がありうる。そのため,上記のような主張がなされる。
【問⑦】公判前整理手続において,検察官から証明予定事実記載書の送付と請求証拠等の開示を受けた弁護人は,何を行うべきか。
【解答】証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張を明らかにしなければならない(316条の17第1項)
【問⑧】弁護人は,検察官の証明予定事実記載書の全てについて,逐一認否すべき義務を負うか。
【解答】負わない。予定主張の明示は,証明予定事実記載書と同様に,充実した審理計画策定のための争点整理の一環である以上,そのために必要な限度で明らかにすれば足りる。細かい認否は,無用の争点を作出することになりかねず相当ではない。

【スク東先生ブログに見る対比的構造】

スク東先生のブログでは,「スク東先生」と「花子さん」との問答形式で議論が展開される。花子さんは,「条文に書いてありますね」「判例があるようです」というアッサリした回答で済ませることが多い。これに対して,スク東先生はそんな花子さんを逃さず,しっかりと根本から理解しているかどうかをコッテリ試す。なぜなら,スク東先生は,花子さんの回答は「単なる知識」すなわち「たまたまそれを知っているかどうか」に依存したものに過ぎず,応用力に乏しいと考えているからだ。
以上を要するに,スク東先生のブログでは,「スク東先生」を「理解Ism」の象徴,「花子さん」を「知識だけで答えようとする暗記Ism」の象徴としてそれぞれ対比させ,各々がもつ特徴を互いに際立たせていることに気付く。これによって「活きた形で知識を習得するためにすべきこと」が見えてくるのだ。対話という形式を採用することで,議論のテーマを鮮明にすることが意図されていることも分かるだろう。
「花子さんは,なぜこんな回答をしたのか」「スク東先生は,なぜ花子さんの回答に苦言を呈する必要があったのか」等々を考えながら読めば,問題文を読み解く際に必要な「出題者が問うていること」を推論する力を鍛えることができるのではないだろうか。


・対象が人間でも文章でも、「知る」ことは、人間作用の極致である。予備試験・司法試験などは、試験委員の文を知れば、合格、間違いなしである。一ケタ合格だって可能だ。

絶対合格!!

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