刑事実務基礎

刑事実務基礎No.2[解答編]/羽生結弦の言葉(2)


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「医学部受験ブログ開設にあたり」

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スクール東京

最高名誉顧問

成川豊彦

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法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!

人間、「やった」と思った時から、次へのスタートです。このほど、国民栄誉賞を受ける、フィギュア・スケートの羽生結弦(ゆづる)選手は“バシッ”と決めた。

<羽生結弦の言葉(2)>
「オリンピックで金をとった時からが、スタートです!」

▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!

これが、プロフェッショナルである。人間、勝利した時からが、次の世界、人生の始まりである。

では、昨日の答えを示します。


刑事実務基礎No.2[解答編]

参考文献等
田宮裕   刑事訴訟法[新版](有斐閣・1996)
山本悠揮  刑事実務基礎の定石(弘文堂・2016)
梓澤和幸  リーガルマインド(リベルタ出版・2014)
スク東先生 スク東先生Twitter2月11日付(スク東先生・2018)

①軽犯罪法上の罪(例:街路における立小便や牛馬を驚かせて逃げ走らせる行為)を犯した疑いのある者については,罪証隠滅又は逃亡の恐れがあれば,定まった住居の有無にかかわらず,勾留することができる。
【解答】誤っている。本ケースの被疑者を勾留することはできない。軽犯罪法違反の疑いのある者については,住居不定の者に限り,勾留できる(207条1項・60条3項)。
②弁護士甲は,Y警察署に赴き,玄関口に現れた捜査主任官Zに対し,同署に身柄拘束されている被疑者乙との即時の接見を申し入れた。ところが,Zは,甲に対し「この後乙の取調べが必要になると考えますので,接見はできません。明日なら接見させてあげますんで。明日の接見は,20時から10分間とさせて頂きます,ハイ。ご理解ください。ご不便をお掛け致します。」などという発言を繰り返し,当日中の接見さえも認めなかった。甲は,丙の対応は不当な接見指定に当たると考えた。甲は,どのような措置をとることが可能か。
次の(1)から(3)の区分に従って解答せよ。
(1)即時に行う措置(2)公判段階で行う措置(3)段階にかかわらず行う措置
【解答】(※ブログ掲載の当初,(2)と(3)の解答が逆になっておりましたので,訂正致しました。)
(1)刑事訴訟法(以下,略)430条2項に基づき裁判所に対して準抗告を申し立てる。ただ,処分の取消しだけを求めても,甲の目的を完全に達成できない。捜査機関から新たな指定を受けてしまうおそれがあるからだ。そので,甲としては,接見を確実に実現すべく,処分の変更を申し立てることが可能だ。
(2)本ケースにおける丙の対応は,不当な接見妨害に該当し得る。そこで,甲としては,公判段階において,違法な接見指定の間に行われた取調べに基づいてとられた供述調書を不任意自白(憲法38条2項,刑訴法319条1項)または違法収集証拠として,証拠排除を請求する。
(3)国家賠償請求訴訟(国賠法1条1項)を提起することが可能である。
なお,39条3項本文の「捜査のため必要があるとき」とは,接見交通権の重要性からすれば,「客観的に指定がやむにやまれぬ状況が認められるとき」と読み換えるべきだろう。
③保釈の種類を挙げよ。
【解答】権利保釈(89条),裁量(職権)保釈(90条),義務的保釈(91条)の3種類。
④被告人乙において権利保釈の要件が充足されない場合,裁判所は乙について保釈を認めることは出来ない。
【解答】誤っている。裁判所は,裁量(職権)保釈を認める可能性がある。
⑤捜査官が,被疑者の取調べの際,「ところで弁護士と何を話したのかな。」などと申し向け,弁護人(又は弁護人となろうとする者)との接見の内容を執拗に聞き出した。この捜査官の行為は,被疑者のいかなる権利と抵触しうるか。
【解答】接見交通権(憲法34条前段,刑訴法39条1項)と抵触しうる。被疑者は,弁護人(又は弁護人となろうとする者)と,立会人なくして接見する権利(「秘密交通権ないし自由交通権」)をもつ。本件捜査官の行為は,被疑者の秘密交通権に対する不当介入である。
⑥弁護人甲は,ある破廉恥罪で起訴された乙の保釈を請求したが,却下されてしまった。この場合,甲はどのような措置をとるべきか。(1)第1回公判期日前と(2)第1回公判期日後に分けて検討せよ。
【解答】
(1)裁判官に対して準抗告(429条1項2号)の措置をとるべきである。
(2)裁判所に対して抗告(419条)の措置をとるべきである。
なお,第1回公判期日前の場合,予断排除の観点から,保釈を判断するのは裁判官である(280条1項)。そのため,保釈請求が却下された場合,不服申立てとしての準抗告は,裁判官に対して行う。これに対し,第1回公判期日後の場合,保釈の判断は受訴裁判所であり,裁判所の決定に対する不服申し立てとしての抗告は,裁判所に対して行う(419条)。

[注]
②については,複数の措置をとることが考えられるので,当事者である甲になったつもりで「何を言いたいか」を具体的に想像し,思い付いた言い分を法的に翻訳できるかどうか検討してみることが大切だ。スク東先生は,2月11日付のTwitterにて【問題文に入ってみよう】と題して,当事者目線をもって問題文を検討することの重要性を説いている。(ここでいう「入ってみよう」とは,もちろん「風呂に入ってみよう」「ラーメン屋に入ってみよう」とは異なる意味であることは言を俟たない。「当事者目線をもって問題文を読み込もう」ということである。)
ところで,②の接見指定を巡る問題については,複数の重要判例(最判平11・3・24等)に見られるように,かつては弁護人と捜査機関との間で激しく争われてきた。現在では,接見交通権を巡る紛争は落ち着きを見せているとのことで,実務的にも,被疑者が取調べ中であったとしても,多くは取調べを中断して接見を認める運用がなされているそうだ。そのため,②のような捜査官の(架空のケースとはいえ)頓珍漢ともいうべき対応は,(幸いなことに)ほとんど存在しないのかもしれない。
⑥の保釈に関する手続きは,短答式において頻出である。不服申立の内容や相手先を整理しておこう。


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