刑法

刑法テストNo.3[解答編]/貴闘力の言葉(2)

 


・彼は、1967年生まれの50才。2000年に史上初の“幕尻優勝”を果たしました。しかし、その後、野球賭博に関与したり、ギャンブル依存症になったりで、負けがこんでしまいました。

今も苦闘している大相撲・元関脇の貴闘力は、こんなアドバイスをしています。

<貴闘力の言葉(2)>
「ギャンブル依存症は、自分でカジノなどをやめられない。もし、その人にお金を貸したら、相手は「地獄に落ちる」と思ってほしい」

・ギャンブル依存症になった人は、「人間とは、何か」を考えてみるといいと思います。周囲の人は、貸金以外で、何とか、厳しいサポートをしたい。

では、昨日の答えを示します。


刑法テストNo.3[解答編]

参考文献等
山口厚・「刑法 第2版」(有斐閣・2011年)
スク東先生・「スク東先生ブログ」(スク東先生・2016年~)

次の記述について(③⑦は正誤)解答せよ。判例がある場合は,判例の趣旨に照らすこと。

①甲が,自然湖の一部に設けられた乙のいけすから逃げ出した乙所有の錦鯉30匹を,同湖内の同いけすから離れた場所で発見し,乙が所有する錦鯉であると認識しながら,これらを自己のものにしようと考えて捕獲した場合,窃盗罪が成立するか。
【解答】成立しない。窃盗罪が成立するためには,他人の財物を「窃取」する必要がある。「窃取」とは,他人が占有する財物を,占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させることをいう。本問の場合,錦鯉30匹は,乙のいけすから逃げ出し,いけすから離れた自然湖内のある場所で発見されたのだから,甲が捕獲した時点で錦鯉30匹は,乙の占有を離れていた。さらに自然湖は,文字通り自然の湖であり誰の支配・管理も及ばない場所だ。ゆえに錦鯉30匹は乙以外の誰かの占有下にあるともいえない。以上から,甲に錦鯉30匹に対する「窃取」は認められない。したがって,甲に窃盗罪は成立しない。錦鯉30匹は,「占有を離れた他人の物」というべきなので,甲に成立するのは遺失物横領罪(254条)である。なお,本問は司法30-8ア・予備30-5アである。
②飼い犬が,時に所有者の事実上の支配を及ぼし得べき地域外に出遊した場合,このことをもって飼育者の所持を離れたというべきか。
【解答】本ケースの事情をもって飼育者の所持を離れたというべきではない。飼い犬の習性として飼育者の下に帰来するのを常とするときは,特段の事情の生じない限り,直ちに飼育者の所持を離れたものとはいえないからである。
③ゴルフ場の池から約1000個のロストボールを領得した場合,これらロストボールは,すでにゴルフ場側の支配を離れたというべきなので,窃盗罪は成立しない。
【解答】誤っている。ケースによって窃盗罪が成立し得る。例えば,ゴルフ場側がロストワールドもといロストボールの回収,再利用を予定しているときは,これらボストロールもといロストボールは無主物ではなくゴルフ場側の所有と占有に帰していたといえる。そのため,こうしたケースにおいては窃盗罪が成立する。
④盗品関与罪の処罰根拠は,客体の追求権を侵害することに加え本犯助長的性格にも求められる。この本犯助長的性格は,盗品等無償譲受罪(256条1項)に比べて同有償譲受罪(同条2項)においてより強く顕れているといえる。このことは,256条のうちどこから窺い知ることができるか。
【解答】256条2項が規定する盗品等有償譲受罪は,客体の占有・所有権を直接侵害する窃盗罪よりも実質的に重く規定されている。また,256条1項が規定する盗品等無償譲受罪と,同条2項前段が規定する盗品等有償譲受罪とは,法定刑に差異(有償譲受罪の方が重い)がある。このことは,盗品等有償譲受罪には,盗品等に対する追求権侵害とは別の性格すなわち本犯の犯人による盗品等の利用行為を援助することにより,財産犯を一般的・類型的に助長促進する(本犯助長的)性格が観念されることを窺い知ることができる。
⑤共同正犯者間では,正当防衛のような違法性阻却事由は原則として連帯すると解される。その理由はどこに求められるか。
【解答】共犯の処罰根拠(いわゆる「因果的共犯論」)である。共犯の処罰根拠は,正犯の違法な行為を介して間接的に法益侵害結果あるいはその危険を惹起することにある。この共犯の処罰根拠は,共同正犯においても妥当する。
正犯の行為に正当防衛が成立すると違法性が阻却されるので,共犯においては正犯の違法な行為を介して間接的に法益侵害結果(あるいはその危険)を惹起したといえない。
共同正犯の例で言えば,共同正犯者のうち一人の行為につき正当防衛のような違法性阻却事由が認められる場合,他方の者についても違法性が観念されない。以上から,共同正犯者間では,正当防衛のような違法性阻却事由は連帯する。もっとも,例外的に連帯が否定されるべき状況もありうるだろう。例えば,共同正犯者のうちの一人が積極的加害意思をもっており,他の共同正犯者の正当防衛状況を利用したといえるような事情が認められる状況である。
⑥行使目的で有効な借用証書の金額を増減する行為は,偽造と変造のいずれに該当するか。
【解答】変造に該当する。変造とは,真正に成立した文書に変更を加えることをいう。有効な借用書の金額を増減する行為は,既存の文書に変更を加える行為なので,変造に該当する。
⑦行使目的で他人の運転免許証の写真を貼り替え生年月日欄の記載を変更する行為は,名義人である都道府県公安委員会の名義を冒用していないため,あくまで変造に止まる。
【解答】誤っている。本ケースの行為は,運転免許証の写真,生年月日という本人を特定する上で必須の情報(文書の本質的部分)に変更を加えることで既存の運転免許証と同一性を欠く新たな運転免許証を作り出した行為といえる。そのため,⑥とは異なり偽造に該当する。
⑧Kは,ある旅館に宿泊中,財布の中に所持金がほとんどないことに気付いた。そこでKは,散歩に行くフリをして逃げてしまおうと思い立ち,同旅館の主に「ちょいと散歩に出るんでね。夕食までには帰ってきますんで。ご確認いただければ幸いです。ご不便をお掛け致します。」と欺いて逃走した。Kに詐欺罪(246条2項)が成立するか。
【解答】成立しない。246条2項の詐欺罪が成立するためには,相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をさせることが必要である。換言すれば,債務者の債権者に対する欺罔行為とは,債権者の債務免除(「財産上の利益」の処分)に向けられている必要がある。
本問の場合,Kは旅館の主に「ちょいと~夕食までには帰ってきます」と欺いてはいるものの,これは旅館の主の債務免除行為に向けられた行為ではない。旅館の主としても「Kの野郎,慇懃に『ご不便をお掛け致します』だって。散歩に行くことが何で『ご不便』なんだよ・・まあいいや。夕食までには戻ってくるんだな。今晩は地元の珍味でも出してやるか。これ食ったらKの奴,目を丸くして驚くに違いない。」との認識ゆえ,Kの債務を免除する意思はない。したがって,Kに246条2項の詐欺罪は成立しない。本問のケースと異なり,Kが当初から宿泊料を支払う意思がないまま宿泊した事情があれば(無銭宿泊),Kが旅館から宿泊サーヴィスを受けた時点で246条2項の詐欺罪が成立するだろう。

「スク東先生の季節」
スク東先生の季節である。こういうと,「スク東先生に季節があるのですか」「牡蠣やタケノコあるいは栗みたいにスク東先生にも旬があるのでしょうか。」「スク東先生って小栗旬・・?」等々の疑問が生じるのもやむをえない。もちろん,ここでいう季節とは,春夏秋冬といった自然現象としての季節ではなく,比喩としての季節である。つまり「蒸し暑いこの時期こそ,スク東先生ブログを読むが吉」という意である。なぜこの時期が「スク東先生の季節」なのか。詳しく見て行こう。
この稿が掲載されるのは6月初旬。湿度が上がり,蒸し暑い日も増えてくる時期だ。そのため,何となく気分が上がらない・・という時もあるだろう。そんな時こそスク東先生(以下,「先生」という。)のブログである。先生のブログを定期的にチェックして勉強のヒントを得,気持ちを引き締めるのだ。この時期,先生のブログが平生にも増して威力を発揮するといえよう。だから「スク東先生の季節」なのである。
先生のブログではしばらくの間,試験制度の説明が続いていた。以前,本欄でも書いたように,試験制度を確認すること自体は有意義だ。とはいえ,長引く説明は,読者に飽きをもたらす。筆者は不遜にも「先生,畏れながら申し上げます。司法試験・予備試験を管轄する機関が法務省であることは,筆者でもさすがにそのまんま覚えました。せっかく“理解”を前面に押し出すブログであれば,『法務省が司法試験・予備試験を所管事項とする理由』から解説して頂きたかった・・というのは冗談として,そろそろ過去問検討の記事を読みたいです。」と,考えた。しかし,そこは先生である。まるで筆者の気持ちを見透かしていたかのように,あるいは弛緩しがちなこの時期に合わせるかのように,ブログの内容を過去問検討に戻したのだ。考えてみれば,先生が上記のような“読者の飽き”を想定していないはずがない。先生は,「しばらく試験制度の説明を続けて原点に立ち戻ってもらい,そこから再び過去問検討に戻って気を引き締めてもらう。」という読者への教育的効果を意識したプログラムを組んでいたのだろう。
久方ぶりの過去問検討の内容ついて一部紹介する。5月27日付記事だ。該当条文をズバリ指摘した東花子さんの解答に対し,先生は「確かに,その通りですが,そんなこと通常知ってますかね。」と半ばキレ気味の反応を示しつつ花子さんを糾弾している。やはり先生は厳しい。筆者は不遜にも「先生,畏れながら申し上げます。条文から解答した花子さん,立派だと存じます。条文に詳しいことを蛇蝎のごとく嫌わなくってもいいのでは。条文が出発点ですから・・・。」と思ってしまったものだが,もちろん先生の意図は,筆者の考えるような浅いものではない。先生の意図は,「確かに条文が出発点ですが,さらっと流してはいけません。この時期の蒸し暑さに負けない位,条文の意味をあえてねっちりじっとり考えてみましょう。そうして頭脳に知識を刻印させるが吉なのです。」ということにあるのだ。先生のブログを大いに利活用し,問題解決の出発点となる条文を確実に押さえて行こう。


・「人間は弱い動物である」。しかし、「知恵がある生物でもある」。

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