【事例】
甲山一郎は,有名なテレビタレントであるが,同人の高校時代からの友人であるAは,書店を開業することを計画し,その商号を「ブックセンター甲山一郎」としたいと考えた。そこで,Aは,甲山に電話で,「今度,書店を始めたいが,その際に君の名前を使ってよいか。」と尋ねたところ,甲山は,「自分の名前が広まるのは大歓迎であり,どんどん使ってほしい。」と答えた。Aは,「ブックセンター甲山一郎」の商号で書店を開業したものの,その後半年もしないうちに,持病が悪化したため,営業から引退することを考え,書店の営業を知人のBに譲渡することにした。Aから営業譲渡を受けたBは,「甲山一郎ブックセンター」の商号で書店を開業した。
【設問1】
テレビタレントである甲山一郎は,「商人」か。
【設問2】
Aには債権者Cがおり,Bには債権者Dがいるとする。C,Dは,それぞれ原則として甲山に弁済の請求をすることができるか。
【設問3】
甲山一郎が,Aの債権者であるCに対して,弁済責任を負うとする。
(1)甲山の責任を根拠づけるために適用が問題となる条文を挙げよ。
(2)上記(1)で挙げた条文は,甲山に直接適用されるか。
【設問4】
Aの債権者Cが,Bに弁済を請求したとする。
(1)Cは,原則としてBに弁済を請求することができるか。
(2)CのBに対する請求権の存否を検討するにあたり,何条の適用が問題となるか。
(3)上記(2)で挙げた条文は,本問で直接適用されるか。
(4)「ブックセンター甲山一郎」と「甲山一郎ブックセンター」は,同一の「商号」と見ることができるか。
【設問5】
甲山一郎が,Bの債権者であるDに対して,弁済責任を負うとする。
(1)甲山の責任を根拠づけるために適用が問題となる条文を挙げよ。
(2)上記(1)で挙げた条文は,甲山に直接適用されるか。
(3)上記(1)で挙げた条文が,甲山に類推適用されるとした場合,甲山の責任の存在を基礎づける事実について,【事例】から指摘せよ。
【出典】
旧司法試験論文式試験平成15年度商法第1問を改題した。
※商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律が平成31年4月1日から施行されるので,今のうちにチェックしておこう。
【分析の視点】
まず原則論をしっかり確定し,その後原則論の修正の要否・可否を検討する。その際,問題文の事実を使うことが大切だ。
【押さえておくべき知識】
・商法14条について ⇒同条の趣旨,「商号」「商人」「営業」「許諾」それぞれの意義 ・商法17条について ⇒同条の趣旨,「商号を引き続き使用する」の意義 |
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