司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 東京・銀座で弁護士事務所を経営しているA先生は、わしの教え子だった。シャープで真面目な性格だった彼は、司法試験をトップ・クラスで合格。弁護士になってからも、ふくよかな人柄に加えて、仕事がテキパキしているので、事務所は大変、繁栄している。そんな彼が、最近の若い弁護士には、ほとほと、手を焼いているという。
▼以下は、彼の感じたことを、わしなりに、まとめてみた。法曹の実務は、慣れていなくても、仕方がない。真面目であれば、時間が経つと、少しずつ仕事が出来るようになる。
問題は、仕事以前のことである。人柄や社会常識が、お粗末なのは、困ったものだ。
A事務所に入所した20代のB弁護士。当初から、始業時間の午前9時には、遅れがち。10分~20分と遅刻するので、おとなしい先生も注意した。「始業時間前にくるのが、社会人として最低限のルールです。気をつけてくださいよ」。B弁護士、“チョコン”と頭を動かして、「ハァー」と言うだけ。明くる日からは、朝9時、ピッタリにやってきた。1分でも早く来たら、損だ・・・と言わんばかりに。
▼B弁護士の入所後、2週間が過ぎた。女性事務員が休みの土曜日。この日、新入弁護士は出勤し、翌月曜日に代休をとることになっていた。
午後、相続事案の依頼人3人が、やってきた。ボス弁は、「お茶を、頼みます」とB弁護士に言って、依頼者から話を聞いた。
▼30分ぐらい、たっただろうか。お茶がなかなか出ないので、湯沸かし器に小走りで行った。「アッ!」とボス弁護士は、息を飲んだ。新入弁護士が、ゆ%8