・幕末に公武合体を唱えた、薩摩藩の島津斉彬(なりあきら)は、人を育てること、人を評価することには、たけていた。
進歩的な人物で、下級武士の西郷隆盛や大久保利通を登用し、日本の近代化に尽くした。上に立つ者の気持ちを、述べている。
<島津斉彬の言葉(2)> |
「君主は、愛憎で人を判断してはならない」 |
・人間関係を、事案関係とは、分離して考えることが、人の上に立つ者の心構えであろう。
では、昨日の答えを示します。
民法テストNo.3 [解答編]
参考文献等
佐久間毅・「民法の基礎2 物権」(有斐閣・2011)
スク東先生・「スク東先生Twitter」(スク東先生・2016~)
次の記述(②③④⑤は正誤)について答えよ。
➀後見には,未成年後見と成年後見がある。両後見の事務内容について,未成年後見における事務として認められているが,成年後見における事務として認められていないものは何か。
【解答】監護及び教育の権利義務である。未成年後見人については,857条本文が準用する820条を根拠にこの権利義務が「未成年後見における事務」として認められている。一方,成年後見人には,この権利義務に相当するものがない。両後見の事務の内容の多くは共通するが,監護及び教育の権利義務の有無において違いが存在するのである。
②株式会社Cは,従業員Kに対する給与支払債務を滞らせていた。他方,株式会社Cは,近所の電器店Sから購入したコピー機甲(以下,「甲」)の代金について未払いであった。このケースにおいて,Sの甲に係る先取特権は,KのCに対する先取特権に優越する。
【解答】正しい。Sの甲に係る動産売買先取特権(321条5号)は,KのCに対する雇用を原因とする一般先取特権(306条2号)に優越する(329条2項本文)。条文による根拠づけは以上の通りであるが,以下のように整理することもできるだろう。
Kは,Cの「総財産」という抽象的な財産に対して先取特権をもつ者であり,甲という特定の動産に対して先取特権による価値把握をする者ではない。そのため,本ケースでは,甲に係る先取特権を巡っては,SがCに優越することになる。
③質権者がいったん引渡しを受けた質物を設定者に返還した場合,当該質権の対抗力の有無について,質権の目的物が動産の場合と不動産の場合とで結論は異なる。
【解答】正しい。動産の場合,「占有(の継続)」が対抗要件となるので,質物を設定者に返還した場合,質権こそ消滅しないものの第三者に対する対抗力を喪失する(352条)。一方,不動産の場合,動産と異なり「登記」による公示制度が確立されているので,不動産質権の登記を具備すれば,それによって第三者対抗要件を得たことになる(177条)。そのため,設定者に返還しようとも(動産のケースと異なり)当該質権の対抗力を失うものではない。
④地役権について抵当権を設定することはできない。
【解答】正しい。369条2項は,地役権を抵当権設定の対象としていない。地役権は,要役地という不動産の便益を高めるために存在する権利であり,地役権自体に独立した価値が存在するものではないからである。また,地役権に抵当権を設定したところで,競売を観念することは難しい。例えば,仮に通行地役権を競売したところで,買い手が付くことはおよそ想定できない。「競売で○○氏がもつ通行地役権を買った。あ,よかった~。早速,明日にでもあの道を通行して便利さを体感してみよう。」などと喜ぶ人がいるとは思えない。
⑤OとY間で建物所有目的の借地契約が期間満了により終了し,Oは借地上に自ら所有する建物甲(以下,「甲」)をYに買い取るよう請求した。Oは,Yに対して甲を引き渡す日まで甲に居住し続けた。このケースにおいて,Yは,Oに対し,甲の買取請求権行使後から甲の引渡し日までの間,甲の使用に応じた賃料相当額の支払いを求めることができる。
【解答】誤っている。不当利得返還請求ができる・・とつい考えてしまうところだが,575条1項がある。建物買取請求権(借地借家法13条)が行使されると,当該建物について借地権者と借地権設定者との間に売買契約(555条)が成立する。売買の目的物が引き渡されていない間,当該売買目的物から生じた「果実」(=本ケースにおける使用利益)は,売主に帰属する(代金が先払いの場合は別)。つまり,売主は,当該売買目的物である(例えば)土地上の木になったリンゴやみかん,あるいは柿等を自由にもいで食うことができるのだ。
⑥17歳のOは,近所の居酒屋に入ってビールを一気飲みしてみたいと思い,ある日の午後,当該居酒屋に入った。居酒屋店主Yは,ぬぼっと入店して来たOに年齢を尋ねるべく身分証明書の提示を求めようかと思ったが,Oが「いやー暑いっすね。たまに寒いんだか暑いんだか分からない日もありますが」と言ってきたので,年齢を尋ねるタイミングを失った。Yは,Oの顔を改めて観察し「まあ,よく見ると25歳位だな」と思い,Oをカウンター席に座らせ,Oの注文に応じて生ビール(メガジョッキ)を供した。本ケースにおけるOに「詐術」(21条)は認められるか。
【解答】認められない。21条の「詐術」とは,制限行為能力者自ら能力者であることを装う積極的言動を弄する場合をいう。本ケースのO(=制限行為能力者)は,自身が成年者(=能力者)であることを装う積極的言動に及んではいない。Yが勝手に「こいつは,まあ25歳位なんだな」と判断したに過ぎない(実際のOは17歳だったわけだが,25歳位に見えるほどフケた高校生であったのだろう。)。
⑦判例によれば,193条が規定する「回復」とは,動産の占有者が一旦その物につき即時取得した所有権その他本権を回復することではないと解されているが,その理由は何か。
【解答】193条の趣旨は,占有者が盗難又は遺失の時から2年以内に被害者又は遺失主より回復の請求を受けないときに限って初めてその物の上に行使する権利を取得することにある。そのため,同条にある「回復」とは,占有者がいったんその物につき即時取得した所有権その他の本権を回復することではない。
【スク東先生ドクトリン】
だから,スク東先生である。
今回ピックアップするスク東先生(以下,「先生」という)のメッセージは,「当たり前のことこそ大切にしましょう。」だ。詳しく見て行こう。
第一は,5月15日のつぶやき「【明日から司法試験】」である。このつぶやきに対し,「これ見て『あ,そうか,明日から司法試験当日だった。忘れてた・・やべえ。』なんて奴いるかよ!」と,そのまんま突っ込むことは早計だ。先生は,別段「皆さん,明日から司法試験ですよ。うっかり別の予定を入れたりしないようにしましょう。」ということを言いたいわけではない(と思う)。
先生が伝えたいメッセージは,その先に続く「体調管理を万全にしましょう。」だ。「体調管理」は,それこそ「当たり前だが意外と軽視しがちなもの」である。例えば,体調管理の上で最重要事項は「睡眠」だ。やるべきことに追われていると,睡眠時間を削ってしまう人も多いかもしれないが,体調を崩してその後の勉強や仕事に支障を来しては意味がない。
先生ご自身,これまでの豊富な受験指導経験の中で,無理を重ねて体調を崩した受験生を何人か見てきてたに違いない。中には緊張のあまり日常の習慣を崩してしまった人もいたのだろう。あるいは,試験前日,プレッシャーを無理矢理はねのけようと酒を呑みすぎて宿酔のまま問題に向き合わざるを得なかった・・なんてな人があったりしたのかもしれない。それはやや極端にしても,先生は,「体調を崩してしまったがために思うように勉強が進まない,普段の実力が出せない・・という事態を回避しましょう。そのためには,体調管理です。結局,体調管理も実力のうちですよ。日頃の意識が肝要のように思います。」ということを強調したかったのだと思う。
第二に,5月16日のつぶやきを見てみよう。このつぶやきもやはりシンプルだ。しかし,独特の緊迫感・迫力に満ちている。内容は,「【今日から司法試験】ついに司法試験の当日がやってきた。問題文に集中してベストを尽くしてください。」である。上述の【明日から司法試験】に照らせば,その翌日のつぶやきが【今日から司法試験】となるのは自然だ。
「司法試験の当日がやってきた」という表現は,あたかも「ゴジラがやってきた」ことを知らせるような迫力に満ちている。だから筆者はこのつぶやきを見た時,真っ先にゴジラのテーマ曲を想起した。もちろん,先生が伝えたかったことは「ゴジラがやってきた」こと自体ではない(仮にゴジラが日本近海に出現するようなことがあれば,第一報は先生からではなく,マスコミ各社・媒体から入るだろう)。
ここでの「ゴジラ」は,あくまで「集中力・冷静な対応力」が第一であることを強調するためのたとえに過ぎない。先生の意図は,「何より問題文に集中しましょう。そのためには,冷静かつ正確に対応することが第一です。極端なたとえをすれば,試験時間中にゴジラが上陸して暴れていたとしても,惑わされることなく目の前の問題文に対処するのです。その位の集中力,冷静さをもつべきでしょう。どんな難問が出されても集中力を維持し,冷静に対応する力を身に付けるが吉」にあるのだ。
このように,先生のメッセージをじっくり読み込むと,「日常の勉強を効果的に進めるため,試験問題を着実に解くためには,どのようなことを意識すべきなのか」について有益なヒントを得ることができる。上述のように,先生のメッセージは一見すると「普通」である。しかし,こうした「普通」にこそ文字通り普遍的なポイントが隠されている。また,先生のメッセージから自分の状況に照らして利活用できそうなヒントを見出し,これらを一つでも多く実践していくことが行動の質を上げるために必要なのだ。
・世の中は、“人とお金”で成り立っているとみてもよい。世間を渡るとき、特に人、つまり人間関係に気を配ることが、肝要である。
あなたも、合格後、人間関係を考える場合、斉彬の心を参考にしてください。絶対合格!!
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また、明朝4時に、「司法試験ブログ・予備試験ブログ」でお会いしましょう!
▼本日午前4時更新の「合格ブログ(成川豊彦日記)」は、司法試験・予備試験の受験生にも参考になるので、ぜひ、ご覧ください。
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