民法

民法No.74【事例式演習】解答編・民法の委任/南方熊楠の言葉(2)


 法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!明治・大正・昭和を通じて、世界を探求した南方熊楠(みなかた・くまぐす)の生涯ほど、面白いものはない。ヒマがあれば、一度、調べてみるとよい。よく「人生は一度しかないのに、興味のもてないもことに使う時間はない」と言っていた。君も、面白いことに時間を使ってください。南方先生は、こうも述べている。

<南方熊楠の言葉(2)>
「世界に、不要のものなし」

▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!この考え方は、法学にも活用できると思う。合格発表まで、ヒマを見つけて考えてみるのも楽しい。
 では、昨日の答えを示します。


民法No.74【事例式演習】解答編
全体を見渡し、易しい記述と難しい記述に峻別する。やはり、まずは記述全体を見渡すことが大切だ。
全体の中で、特に易しい記述は、ウである。ウの内容は、会社法の細かい知識がなくとも、「(調査担当者を)選任できることに問題はない(むしろ選任すべきだ)から、正しい」と無理なく判断できるものである。
次に易しい記述は、オである。オの内容は、民法の委任で学ぶ基礎的知識(645条が規定する「受任者による報告」)を使えば、仮に会社法398条2項の知識がなくとも、「正しい」と判断することは難しくない。
会計監査人は、委任に関する規定に従うことは、会社法を一通り学んだのであれば、既に身についている基礎知識である。そのため、会計監査人を選任する株主総会により、定時総会への出席要請があれば、それに応じ意見を述べなければならない(=民法645条の「報告」に相当)と判断することができる。
以上、ウとオが「正しい」と判断できる。ウとオが「正しい」と判断できれば、4だけが残り、しかもこれが正解である。このように、本問は民法の知識を活用することで、確実に正解することができる問題なのだ。
一方、アはともかく、イやエは難しい。「これは一見してよく分からない」のが通常だろう。条文を押さえている人も少数派ではないだろうか。他の記述からイやエを判断するためのヒントを得ることもできない。本問は、以前(No.71)で紹介した問題のように記述相互の関連性が密接とは言い難く、記述同士を比較しながら正解を導く方法を使うことができないからだ。ただ、イについては、「剰余金の配当」が株主の利益のために分配されること(会社法105条1項1号)からすれば、会社の根本規則である「定款」で、「剰余金の配当」に関する「株主総会決議の定足数」を定める(あるいは従前の定款を変更する)こともできるのでは・・という推測はできるのではないだろうか。たとえば、「定款」変更は、株主総会で行われる(会社法466条・309条2項11号)。そうすると、株主自身が自らの利益である剰余金の配当に関する決定をするのだから、特段の不利益が生ずる場面とはいえないだろう。そうはいっても、このイは、先のウやオに比べると容易に判断できるとまでは言い難い。やはりウ及びオを確実に判断できることを優先すべきだろう。
エについては、イよりも更に判断が難しい。この記述こそ、「どちらともいえない(どちらともいえそう)」という形で迷う記述である。株主の利益を最優先するのであれば、株主総会の出席の機会を最大限確保すべき(=欠席した株主の出席の機会を確保すべく、改めて「通知」をすべき)ことになるが、一方で、改めて通知することには無駄もあり、わざわざ通知する必要があるのか、という考えも出てくる。
もちろん、難しいとはいえ本試験問題として出題されているので、全く無視することはできない。しかし、ウやオのように確実に判断できる程度に深めておく必要はないだろう。関連する条文をチェックし、一応の理由づけを自分なりに試みるにとどめ、深入りしない方が得策であろう。
【合格の道標】No.35
短答式試験の問題を検討する際には、「全体を見渡す」ことを意識しよう。問題にもよるので、はっきりと区分することはできないが、例えばア~オまで選択肢が並んでいる場合、アが難しく(見たことのない記述だったり、注意深く読まないと“引っかかる”記述だったりする)、エやオの辺りに比較的判断しやすい記述が存在する場合がある。このような場合、何も考えずいきなりアから検討することは避けた方がよい。既に何度か紹介したように、「容易に判断できる記述はないか。ヒントはないか」という視点をもちつつ注意深く全体を見渡す。その際、使えそうな情報はもれなくチェックしておく。「これは簡単」で済まさず、「この記述の考え方が後で役に立つかもしれない」という観点でチェックをしておく。一見するとよく分からない記述の正誤が、「これは簡単」という記述に現れた考え方(基礎知識として習得している概念等)を使うと、推測することができるからだ。
こうした作業は、いきなりできるものではない。やはり日頃の演習時から本番を意識しつつ行う必要がある。また、「仮にこの知識(条文や判例に関する知識)を知らなかったとしたら、問題文中のどこに着目してどう解くか」を意識しながら問題演習を行うことも大切だ。


▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!昨日の南方先生の言葉に、「人すでに、心あり」があった。この関連で「人すでに、考えあり」と思い、自分の現在・将来を見渡してみたい。では、合格発表まで“爆勉”しよう!今の学びが、将来大いに役立つだろう。さあ!行け!絶対合格!!
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