行政法

行政法ドリルNo.9[問題編]


【設問➀】
抗告訴訟における「処分」(行政事件訴訟法3条2項等)の定義
【設問②】
違法性の承継について次の問いに答えよ。
(1)違法性の承継が許されるのは,どのような場合か。
(2)違法性の承継という理論の目的(なぜ,このような理論が構築されたのか)
(3)違法性の承継における先行行為に「処分」性は認められるか。
(4)仮に先行行為の時点で,手続保障の制度が整備されていたとする。その上で先行行為について取消訴訟の出訴期間(行政事件訴訟法14条)が経過した場合,原告は,後行行為について取消訴訟を提起し,同訴訟の中で先行行為の違法性を主張することができるか。
【設問③】
次の事例を読み,続く小問(1)~(2)について解答せよ。
建築基準法が同法所定の接道義務について条例による制限の付加を認めていることを受け,東京都建築安全条例(以下「条例」という。)は,接道義務を厳格化している。条例の定める安全認定(以下「安全認定」という。)は,接道義務の例外を認めるための制度であり,接道要件を満たしていない建築物の計画であっても,適法に安全認定を受けていれば,建築確認申請手続において,接道義務の違反がないものとして扱われることとなる。なお,安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否について判断を示した最高裁判所の判決(最高裁判所平成21年12月17日第一小法廷判決)がある。
[小問]
(1)この事例における安全認定に処分性は認められるか。
(2)この事例における安全認定の適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に充分に与えられているといえるか。
【設問④】
次の事例を読み,続く小問(1)~(3)の正誤を答えよ。
食品会社であるXが,食品を輸入しようとしたところ,検疫所長Yから食品衛生法(平成15年法律第55号による改正前のもの。以下「法」という。)第6条に違反する旨の通知(以下「本件通知」という。)を受けたため,その取消しを求めた事案において,本件通知が抗告訴訟の対象となる 処分に当たるかどうかについて判断を示した最高裁判所平成16年4月26日第一小法廷判決の次の判示を読み,下記小問(1)~(3)について解答せよ。
「食品衛生法違反通知書による本件通知は,法16条に根拠を置くものであり,厚生労働大臣の委任を受けたYが,Xに対し,本件食品について,法6条の規定に違反すると認定し,したがって輸入届出の手続が完了したことを証する食品等輸入届出済証を交付しないと決定したことを通知する趣旨のものということができる。そして,本件通知により,Xは,本件食品について,関税法70条2項の「検査の完了又は条件の具備」を税関に証明し,その確認を受けることができなくなり,その結果,同条3項により輸入の許可も受けられなくなるのであり,(中略)関税法基本通達に基づく通関実務の下で,輸入申告書を提出しても受理されずに返却されることとなるのである。」
(参照条文)食品衛生法(平成15年法律第55号による改正前のもの)
第6条 人の健康を損なうおそれのない場合として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会 の意見を聴いて定める場合を除いては,添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であつて添加物として使用されるものを除く。)並びにこれを含む製剤及び食品は,これを販売し,又は販売の用に供するために,製造し,輸入し,加工し,使用し,貯蔵し,若しくは陳列してはならない。
第16条 販売の用に供し,又は営業上使用する食品,添加物,器具又は容器包装を輸入 しようとする者は,厚生労働省令の定めるところにより,そのつど厚生労働大臣に届け出なければならない。
(参照条文)関税法
第67条 貨物を輸出し,又は輸入しようとする者は,政令で定めるところにより,当該貨物の品名並びに数量及び価格(中略)その他必要な事項を税関長に申告し,貨物につき必要な検査を経て,その許可を受けなければならない。
第70条 (略)
2 他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物に ついては,第67条(輸出又は輸入の許可)の検査その他輸出申告又は輸入申告に係る税関の審査の際,当該法令の規定による検査の完了又は条件の具備を税関に証明し,その確認を受けなければならない。
3 第1項の証明がされず,又は前項の確認を受けられない貨物については,輸出又は輸入を許可しない。
[小問]
(1)この判決は,検疫所長による本件通知に法的効力を認めたといえるか。
(2)この判決によれば,税関長は,本件通知の時点で,関税法第70条第3項に基づき輸入を許可しないという処分をしたことになるか。
(3)この判決の考え方に立っても,輸入申告に対する税関長の拒否行為について取消訴訟を提起することは許されると解し得るが,同訴訟においては,法第16条の届出の対象となる食品等が法第6条に適合するか否かについては争うことができないとされる可能性があるか。

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