刑事実務基礎

刑事実務基礎テストNo.3[解答編]/“合格の神様”の言葉(2)

 


“一瞬一生”の気迫と謙虚で、今日も乗り切りましょう。昨日と同じように、畏(おそ)れ多くも、「合格の神様」の本心(「合格抄」・スクール東京)を、私が代筆して、あなたにお伝えします。

<「合格の神様」の言葉(2)>
「頼むぞ」と部下である“頭と体と心”に言って、一心に問題に向かう。
「やるぞ!」   

・それでは、昨日の答えを示します。


刑事実務基礎テストNo.3[解答編]

参考文献等
山本悠揮・「刑事実務基礎の定石」(弘文堂・2016)
梓澤和幸・「リーガルマインド」(リベルタ出版・2014)
スク東先生・「スク東先生ブログ」「スク東先生Twitter」(スク東先生・2016~)

次の記述について解答せよ。

①逮捕の必要性(刑事訴訟法199条2項但書,規則143条の3)と被疑者勾留の必要性(207条1項本文・87条1項)について,それぞれの制度における要件の位置づけを答えよ。
【解答】
逮捕の必要性は,逮捕の消極的要件という位置づけである。一方,被疑者勾留の必要性は,
積極的要件という位置づけである。この「消極的要件,積極的要件」という概念は,刑訴法
以外では,例えば行政法における仮の救済の手段においてもクローズアップされる議論で
ある。仮の救済については,行政事件訴訟法の該当条文を確認しておこう。
②司法警察職員Oが,被疑者Hを適法な手続きに基づいて通常逮捕し,これを司法警察員に引致しようと,警察署に向かった。ところが,Hは,道中の公衆トイレに立ち寄ったOの隙を突いて逃亡した。この場合,Oは,既に発付されている逮捕状に基づいてHを逮捕することができるか。
【解答】
逮捕することができる。逮捕は,警察署等に被逮捕者を引致した時点で完了する。
Hは,警察署に引致されるより前に逃亡したので,Oは発付されている逮捕状によりHを
逮捕することができる。なお,Hが警察署に引致された後に逃亡した場合,新たな逮捕状の
請求が必要となる。
③司法警察職員Oは,Yを強要罪の嫌疑で通常逮捕しようとした。ところが,Yは自宅がありながらⅰしばしば他県等に出かけるなどして,自宅に現在することがほとんど予期し得ないものであった。この場合,仮にOが,たまたまYを発見して逮捕状の執行を試みるも逮捕状を所持しておらず,しかも逮捕状の所持者に連絡して急速に逮捕状を入手することが極めて困難であり,Yは「何があ!」と言いながらOに威圧的な態度を取り続けていたとする。この場合,OはYに対し,「逮捕状は事情があって手元にありません。たいへん失礼致しました。でも,ⅱあなたに対する逮捕状は適法に発付されてるんで!それは事実なんだなあ。あなたの罪名は強要罪です。ご確認いただければ幸いです。あなたを通常逮捕します。ご不便をお掛け致します。」と告げ,逮捕状を呈示しないままYを通常逮捕しようとした。Oの行為は適法か。
【解答】
適法ではない。Oの行為については,逮捕状の緊急執行(201条2項・73条3項)の要件充足性が問題となる。73条3項の「急速を要する」については下線部ⅰの事実を見る限り特に問題はないだろう。
では,73条3項「公訴事実(=「被疑事実」に読み替え)の要旨~告げて」についてはどうか。Oは,「令状が発せられている旨」は告げている(OのYに対する物言いは,やや開き直っている印象を与えるが,それは要件の充足性に影響を与えるものではない)。Oにおいて問題となるのは,「被疑事の要旨」が告げられているかどうかである。
Oは,単に「あなたの罪名は強要罪ですね」と罪名を告げたに過ぎず,「被疑事実の要旨」
を告げたとは言えない。「被疑事実の要旨」を「告げた」といえるためには,被逮捕者に「理由なき逮捕ではないのだ」ということを理解させる程度の告知が必要である。
以上から,Oの行為は201条1項・73条3項に反し違法である。
④公判前整理手続において,弁護人から検察官に対し,いわゆる類型証拠開示請求が出された場合,検察官は,弁護人の請求内容に重要性があると判断すれば,これに応じなければならないか。
【解答】応じなくともよい。いわゆる類型証拠開示請求(検察官請求証拠の信用性を判断するために必要な証拠開示請求・316条の15)において検察官は,弁護人の請求内容につき,その重要性ばかりでなく,被告人の防御の準備のために当該当該開示を行うことの必要性の程度や当該開示によって生じるおそれのある弊害等を考慮した上で,開示の相当性を判断する。そのため,弁護人の請求内容が重要であるからといって開示請求に応じなければならないわけではない。
⑤証人の定義は何か。
【解答】裁判所または裁判官に対し,自己の直接経験した事実またはその事実から推測した事実を供述する第三者をいう。
⑥証人尋問において,証人の意見を求める尋問は常に許されるか。
【解答】常に許されるわけではない。例えば,抽象的な形で単なる意見表明を求める形態の尋問は許されない。一方,証人が実際に経験(「実験」)した事実により推測した事項に限定する形で意見を求める尋問形態は許容される(156条1項)。上記⑤の証人の定義にも合致している。
⑦証人尋問において,証人に伝聞供述を求めることは許されるか。
【解答】許されない。上記⑤からすれば,証人とは,「自己の直接経験した事実」(=「実験」)に基づく事項を述べるべき者ゆえ,「実験」していない事項である伝聞に基づく供述を行うことは一切許されない(規則199条の13第2項4号)。
⑧控訴の提起期間は,判決宣告日を含めると何日以内か。
【解答】15日以内である。控訴の提起期間は14日であり(373条),この期間は第一審の裁判が告知された日から進行する(358条)。上訴期間のように「日」で計算される期間については,初日を算入しない(55条1項本文)。そのため,控訴の提起期間は,判決の告知(=判決の宣告・342条)の翌日から進行するので,判決宣告日を含めると15日以内となる。

【スク東先生の実践そして実戦】
スク東先生は豪傑の人である。
5月7日付の先生のTwitterを見てみよう。テーマは【問題文に集中する】である。内容は「試験中は、いろいろなことを考えるでしょうが、とにかく目の前の問題に集中しましょう。」だ。試験中は文字通り「いろいろなことを考え」てしまうものだ。「この分野ちゃんとやっておけばよかった」「判例・・」「もっと条文を押さえておけば・・」等々,問題を解く上で何ら役に立たないネガティヴな雑念が雲霞のごとく押し寄せてくる。こうした無意味な雑念を防ぐ方法については,関連書籍も多数出版されているくらい多種多様である。そんな中,先生の「とにかく目の前の問題に集中すること」は,シンプルかつ豪快なものであり,ともすれば雑念で複雑になりがちな思考を,豪傑のごとく薙刀か何かでそのまんまバッサリ斬ってくれるような爽快さがある。
その一方で,先生は繊細の人である。
先生の5月9日付のブログを見てみよう。記事のタイトルは「予備試験の手続を確認しよう 第1回願書」である。この記事では,文字通り受験のための手続きについて説明されている。注目すべきは,「結論から言うと,法務省から司法試験予備試験の願書を取り寄せることになります。」である。「法務省から」という点がポイントである。
先生は,なぜわざわざ「法務省から」と書いたのであろうか。あくまで筆者個人による推測だが,おそらく先生の意図は「予備試験は国家試験で,法務省の管轄です。霞が関にはたくさんの省庁がありますが,間違えて文部科学省に願書交付を請求しないよう注意しましょう。もちろん,警察庁や経済産業省に請求してもいけません。」ということを強調した点にあるのだろう。「受験に必要な事務手続きを決して疎かにしてはいけません。手続きは繰り返し確認するが吉」という思いも込められているのかもしれない。
いずれにせよ,「そんなことまで説明するのですか。」ということまで先生は懇切丁寧に解説する。これは先生がもつ繊細さの証左ともいいうるだろう。ちなみに,「そんなことまで説明するのですか。」という驚き(時々感動やヒント)は,先生が担当される「スク東先生ゼミ」に出席することで,リアルに経験できるだろう。こうした驚きやヒントを少しでも多く得ることが,単調で平板になりがちな試験勉強を継続する上でたいへん大きな力になるのだ。


・明日は、中休み。ゆっくり休んでください。太陽・「合格の神様」・お世話になった方々に、感謝したい。絶対合格!!

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