【令和7年予備試験 論文合格発表】
令和7年12月18日(木)
【令和7年司法試験 最終合格発表】
令和7年11月12日(水)
令和7年カウントダウンは,こちらのページです。
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いつも,読んでくださりありがとうございます。令和7年の司法試験最終合格発表まで,あと1か月を切りました。
だいぶ,日中の気温も下がり,勉強しやすい環境です。今年の司法試験最終合格発表も,見えてきました。
今日は,予備試験短答_一般教養科目_経済学,「リーマン・ショック後の日本経済」について勉強しましょう。今年の出題,令和7年第22問です。計算や論理は使わず,当時のニュースや簡単な経済の基本知識があれば,現場で十分に解けます。これで3点ゲット!…けっこう,おいしいこともあるのです。
注意するのは,令和7年現在の日本経済ではなく,平成21年(2009年)で,今から16年前のことに関する問題ということです。20歳前後の学生が受験することを想定して作問されたと思われます(令和7年時点で学生であれば,平成21年当時は,4~5歳)。学齢前の出来事で,実際の経験を基に解くことはむつかいかもしれません。問題文をよく読まないと,令和7年現在の話と早とちりし,肢を間違えて選択するように作られています。
一方,現在40代~50代の世代にとり,リーマン・ショックに伴う金融危機は,忘れもしない出来事です。まず短期的な労働者(非正規・派遣労働者)が首を切られ,平成20年年末から翌21年初めにかけ,生活困窮で年を越せない人が続出しました。首都圏の公園は大みそかの炊き出しに大行列,NPOなどが年越し派遣村(雇用を失った人のための緊急的な避難所)を設立するなど,ほんとうに厳しい年越しとなったのです。金融危機が去っても,平成の終わりにかけ,求人倍率や賃金の伸び悩みなど,日本経済は冷えた状態でした。バブル経済崩壊(平成2年初頭)からの,いわゆる「失われた30年」を決定付ける出来事となりました。
…前置きはこのぐらいにして,問題検討に入りましょう!
問題:次の文章は,『平成21年度年次経済財政報告説明資料』からの抜粋で,海外要因から大きな影響を受けた日本経済の状況を記述したものである。空欄(ア)から(エ)に入る語句の組合せとして,最も適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。
世界的な(ア)危機の影響は,貿易の縮小,日本からの輸出の減少の形で強く現れ,それが内需にも波及する形で企業部門に大きな影響を与えた。
企業部門は,①予想以上のテンポで輸出など最終需要が落ち込み,在庫調整のため急激な減産が必要となったこと,②原油・原材料価格は低下したものの,需要の落ち込みを反映して売上,収益が急減したこと,③設備過剰感が大幅に高まり,期待成長率も低下したことから,設備投資も減少した。
日本において外需が大きく減少した背景は,輸出相手国の内需の落ち込み,輸出に占めるウエイトの高い自動車やIT製品への影響の集中,自国における内需の減少の緩やかさ,(イ)などが重なったことが考えられる。
外需が落ち込んだ結果,我が国の経常収支黒字は(ウ)し,貿易・サービス収支は赤字化した。ただし,そのかなりの部分はアメリカを始めとする,世界の景気悪化で説明可能であり,世界経済が回復するにつれ,経常収支はもとの水準に近づくと考えられる。
均衡為替レートを見ると,日本で賃金の上昇が(エ)される形で輸出産業の競争力が高まり,(イ)方向に推移してきた面もある。
1.ア 金融 イ 円高 ウ 増加 エ 抑制
2.ア エネルギー イ 円安 ウ 減少 エ 抑制
3.ア エネルギー イ 円安 ウ 増加 エ 促進
4.ア 金融 イ 円安 ウ 減少 エ 促進
5.ア 金融 イ 円高 ウ 減少 エ 抑制
【出典】内閣府『平成21年度年次経済財政報告説明資料』
正解:5
(ア):金融
完成文:「世界的な(ア 金融)危機の影響は,貿易の縮小,日本からの輸出の減少の形で強く現れ,それが内需にも波及する形で企業部門に大きな影響を与えた。」平成21年は,リーマン・ショックから波及した世界的な金融危機が日本の経済に波及した。この時点で,肢2・3が切れる。
(注)世界的「エネルギー」危機とは,令和2年(2021年)ころ終息した新型コロナウイルスまん延からの経済回復によるエネルギー需要増加,翌令和3年(2022年)のロシアによるウクライナ侵攻による天然ガス供給の減少等,複数の要因により,原油・石炭・天然ガスなどの価格が高騰し,家計や企業に大きな負担を与えていることである。令和7年も,影響が続いている。
(イ):円高
完成文:日本において外需が大きく減少した背景は,輸出相手国の内需の落ち込み,輸出に占めるウエイトの高い自動車やIT製品への影響の集中,自国における内需の減少の緩やかさ,(イ 円高)などが重なったことが考えられる。
円高とは,外国通貨に対する円の価値が高くなることをいう。たとえば,為替レートが1ドル150円だったものが,1ドル100円に変動する場合である。
円高になると,輸出品の外国での価格が高くなり,国際競争力が低下し,輸出量が減少する。たとえば,外国の企業が1個3000円の日本の商品を買い入れる場合,1ドル150円なら20ドル支払えばよかったが,1ドル100円になると30ドルに値上がりするので,需要の法則から,購入量が減少する。
問題文に「外需が大きく減少」とあり,為替市場において円高が進行したと分かる。肢4が切れる。
(ウ):減少
完成文:外需が落ち込んだ結果,我が国の経常収支黒字は(ウ 減少)し,貿易・サービス収支は赤字化した。ただし,そのかなりの部分はアメリカを始めとする,世界の景気悪化で説明可能であり,世界経済が回復するにつれ,経常収支はもとの水準に近づくと考えられる。
経常収支とは,一定期間における海外との経済取引の収支を示す経済指標をいう。黒字であれば国内に資金が余り,赤字であれば,海外への支払いが多い状態である。貿易収支は,経常収支の構成要因の一つであり,この数字が悪化すると,経常収支の黒字も縮小する。
(エ):抑制
完成文:均衡為替レートを見ると,日本で賃金の上昇が(エ 抑制)される形で輸出産業の競争力が高まり,(イ 円高)方向に推移してきた面もある。
均衡為替レートとは,過去の為替相場やマクロ経済指標などからみて適正と考えられる,為替レートを推計した値をいう。為替レートは,短期的にみれば世界経済や投資家の動きで変動するが,長期的には国内外の経済実態に沿うとする考えに基づく数値である。
平成21年は,金融危機による外需減少で国内企業が減産となり,時間外労働や賞与額が減少し,国内の賃金上昇が抑えられる形となった。
今回の勉強は,ここまで。経常収支,円高と輸出の関係など,基本的な経済の知識も,確認できましたね。今日も,頑張っていこう!
絶対合格!!
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