行政法

行政法ドリルNo.3[解答編]

 


【設問】
次の(1)から(6)までの小問について解答しなさい。

(1)行政規則の定義を述べよ。
(2)行政規則にはどのようなものがあるか。一つ挙げよ。
(3)法規の定義を述べよ。
(4)法規命令にはどのようなものがあるか。
(5)行政規則は,行政機関が法律の根拠なくして定立が可能であるが,それはなぜか。
(6)行政機関が自ら定立した行政規則に従わずに処分を行った場合,かかる処分は適法か。

【解答】
(1)行政機関が定立する規範のうち,国民の権利義務に直接かかわらない行政の内部基準をいう。
(2)通達(その他には,審査基準や処分基準,行政指導指針を挙げることができる)
(3)国民の権利義務に関する一般的・抽象的な定めをいう。
(4)委任命令及び執行命令
(5)行政機関が,国民の権利義務に直接関係する定めを定立するにあたっては,法律の根拠が必要となる(「法律による行政の原理」)。
行政機関が定立する定めのうち,行政規則は国民の権利義務に直接関係しない。行政規則は,行政内部において通用するに止まる規範(行政の内部基準)であって,外部性をもたないからである。したがって,行政規則は,法規命令に当たらない。よって,行政機関は,行政規則については法律の根拠なくして定立が可能である。
(6)原則として適法である。小問(5)の解答で述べたように,行政機関は,行政規則については法律に根拠なくして定立が可能であるゆえ,行政規則に従わない処分を行ったからといって違法になるわけではない。
もっとも,当該行政規則が公表されている場合,処分を受ける国民においては,行政機関が行政規則に従った処分を行うものと信頼するだろう。そのため,右事情がある場合,相応の合理的な理由(行政規則に従わないことを正当化する特段の事情)がない限り,行政機関としては行政規則に従わなければならない。そのような合理的な理由がないにもかかわらず,行政規則に反する処分を行った場合,一般原則である信義則(民法1条2項)や平等原則(憲法14条1項)に抵触し,当該処分は違法となる。      以上

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