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<山下泰裕・元柔道選手の言葉(2)>
「自分に勝たなければ、勝利は絶対にない」
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▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 自分に弱い人は、スポーツでも、敗北する。当り前である。戦いに勝利するためには、自分のことを分析して、強くなることだ。それは、だれだってできる。それを、やらないとしたら、“たるみ心”があるからだ。
では、昨日の答えを、示します。
【解答】民法No.33
1.Kが ① の権利を有するか
(1)Kが ① の権利を有するためには、Kが608条1項「賃貸人の負担に属する必要費」を支出したといえる必要がある。
(2)608条1項「賃貸人の負担に属する必要費」とは、賃借人が賃借目的物を使用収益できる状態にするために賃貸人が負担すべき修繕・整備のための費用をいう。
(3)ビルの賃貸人であるEは、賃借人であるKが甲ビルを円滑な業務遂行のために使用収益できるよう、甲ビルについて損傷が生じた場合に修繕・整備する義務を負う。甲ビル3階の窓ガラスは、大型台風に伴う暴風という不可抗力の自然災害により損傷した。かかる損傷により、Kは賃借している甲ビル3階の部屋を充分に使用収益できなくなり、業務に支障が生じた。そのため、Eは、甲ビル3階の窓ガラスを修繕・整備し、Kが3階の部屋を充分に使用収益し、業務を円滑にできるようにする義務を負う。したがって、賃貸人であるEは、Kが甲ビルを使用収益できる状態にするために、甲ビルを修繕・整備するための費用を負担すべきであった。よって、賃借人であるKは、平成25年9月10日に自ら支出した修繕工事の報酬相当額5万円が608条1項の「賃貸人の負担に属する必要費」にあたることを根拠に、賃貸人Eに対する費用償還請求権を有する。
(4)以上から、Kは、 ① の権利を有する。
2. ② Sの反論とKの主張の認否
(1)Kは、上記 ① の権利を自働債権、Eの賃料債権を受働債権として、相殺(505条1項本文)を主張する。かかるKの主張が認められるか、以下検討する。
(2)Eの負担する必要費負担債務とKの賃料負担債務は、いずれも金銭債務なので「同種の目的を有する債務」である。Eの負担する必要費負担債務は、「直ちに」賃借人に償還すべき債務なので(608条1項)、Kが支出した平成25年9月10日時点で「弁済期にある」といえる。他方、12月7日の時点でKの負担する賃料債務も「弁済期にある」といえる。以上から、Kは、505条1項本文の要件を充足することを根拠に、必要償費還請求権を自働債権として、賃料債務との相殺を主張する。
(3)ア 一方、Sは、Kの主張に対し以下の反論をする。登記による公示が果たされて、差押えがなされた場合、登記具備に後れて取得された債権をもって相殺をすることは許されない。Sは甲ビルの抵当権者であり、平成25年1月1日に登記を具備した。一方、Kは、かかる登記具備に後れる平成25年9月10日にEに対する必要費償還請求権を取得した。そのため、Sは、物上代位権の行使(372条・304条1項本文)により、Eの賃料債権30万円全額について「他の債権者」であるKに「先立って」弁済を受ける権利を有する(369条1項)。したがって、KはSに賃料債務30万円全額を支払うべきである。よって、Kの賃料債務が、相殺を「許さないとき」(505条1項ただし書)にあたるとして、Kの相殺は認められない。イ以上のSの反論にあるように、Kの負担する賃料債務は相殺を「許さない」債務にあたるか。「債務の性質がこれを許さないとき」の意義を明らかにする必要がある。505条1項ただし書の趣旨は、弁済期にある金銭債務であっても、相殺による簡易迅速の決済の手段を禁ずることで、給付による債務の現実の履行を確保し、もって当事者間の公平を図ることにある。そこで、「債務の性質がこれを許さないとき」とは、当事者間の公平を図る見地から、相殺による簡易迅速な決済を禁ずることで、給付による債務の現実の履行を確保すべき場合をいう。
(4)本件についてみる。 ① で述べたように、Kは、Eに対して608条1項規定の必要費償還請求権を有する。608条1項が、賃借人が肩代わりした必要費を「直ちに」償還請求できると規定する趣旨は、賃貸人が、賃借人の賃借物使用収益権を「直ちに」充足して賃借人の償還請求への期待を確実に保護し、当事者間の公平を実現することにある。そのため、賃貸人は、賃借人の期待を保護して公平を実現するため迅速に必要費償還請求に応ずる義務がある。また、「直ちに」という文言は、公平な調整を実現するため、賃借人が肩代わりした必要費について、賃貸人が賃料の減額に応ずるという形の簡易な償還義務を予定する。したがって、KのEに対する30万円の賃料債務とEのKに対する5万円の必要費償還債務は、相互に簡易迅速な決済がなされることを予定しており、これを禁ずるものではない。KのEに対する賃料債務30万円のうち、5万円については、給付による債務の現実の履行を確保すべき場合ではない。よって、Kの負担する賃料債務30万円のうち必要費用償還請求権の対応する5万円については、相殺を「許さない」債務にはあたらない。よって、KのEに対する相殺の主張は認められるから、KはSに賃料債務全額を支払う必要はない。
(5)以上から、Kの主張は認められる。
以上
【注】
(1)「論点は何か」という視点で解こうとすると、行き詰ってしまう。そこで、当事者の請求を確定し、根拠となる条文の要件を丁寧に事実と照らし合わせながら検討することが大切となる。
(2)608条1項「必要費」については、文言だけではその意義は明らかではない。そのため、しっかりとその意義を明らかにしてから、具体的事実にあてはめる姿勢が大切である。
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