民法

建物の明渡債務と敷金返還債務/キッシンジャーの言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!合格後は、君はいい仕事、そして偉大な仕事を始めることになる。対象物が、どんなに大きくとも、ビビラナイ。やれば、必ずできる。この点について、世界的な政治学者のヘンリー・キッシンジャー博士のコメントを聞きたい。


<キッシンジャーの言葉(2)>
「どんな偉大な事業も、初めは、夢にすぎない。だから、必要なのは、勇気である」


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!夢を実現するためには、勇気がいる。ノウハウのうちの勇気があれば、どんな夢でも果たすことができる。もちろん、司法試験・予備試験の合格も!行け!
 それでは、昨日の答えを示します。


【解答】民法No.41
 Aは、本件建物の明渡債務とKのAに対する敷金返還債務とが同時履行の関係(民法(以下、省略)533条)に立つことを根拠に、Kの請求を拒む。また、留置権(295条1項本文)を根拠に、Kの請求を拒むことも考えられる。
 当該両債務が、同時履行の関係に立つといえるためには、同一の双務契約に基づく債務であることが必要である。また、留置権が発生するためには、当該債権が、「物に関して生じた」といえなければならない。
 敷金は、賃借人の債務を担保する目的で、賃貸借契約(601条)とは別に差し入れられる金員である。そのため、賃借人が、賃借目的物を明け渡すことによって、初めて敷金返還債務が発生する。したがって、賃借物の明渡債務と、敷金返還債務とは、賃貸借契約という同一の双務契約に基づく関係にない。また、留置権の要件である債権の発生も認められない。
 また、一般的に、賃借目的物の価値と敷金の額とは、大きな差がある。そのため、敷金が返還されるまで、賃借目的物の明渡債務を拒めるとすると、価値の点で均衡を失することから、同時履行の抗弁権や留置権の趣旨である公平の理念に反する。
 以上から、Aによる本件建物の明渡債務と、Kによる敷金返還債務とは、原則として同時履行の関係に立つものではなく、また、留置権も認められない。そのため、Aが敷金の返還を受けるまで本件建物の明渡しを拒むことはできない。
 しかし、Aが本件建物を明け渡さざるをえなくなった原因は、KがBに無断で本件建物をAに賃貸したことに端を発する。賃貸人側の責めに帰すべき事由によって明け渡さざるをえなかった場合にも、賃借人は、敷金の返還を待つことなく常に明渡請求に応じなければならないことは、むしろ同時履行の抗弁権や留置権の趣旨である公平の理念に反しないか。
 敷金の目的は、上述のとおり、賃借人の賃借目的物明け渡しまでに生じた一切の債務を担保し、賃貸人の保護を図ることにある。しかし、当該賃貸借契約の終了及び賃貸目的物の明渡しの原因が、もっぱら賃貸人の責めに帰する事由による場合、賃貸人保護の要請は、賃借人保護の要請に劣後してもやむを得ない。換言すれば、敷金の機能をことさら強調すべきではない。そのため、敷金返還債務は、明渡し後に生ずるのではなく、終了時点に生ずるとして、賃借人の保護を優先すべきである。
 他方、同時履行の抗弁権や留置権の趣旨が、公平の理念に基づいた債務の確実な履行の確保にあることからすれば、当該両債務に対価的意義がないことのみをもって、同時履行の関係に立つことや留置権の発生を否定すべきではない。公平の理念を実現すべき観点から、当該債務の履行が確保されるべきかを事案に即して実質的に検討すべきである。
 以上から、当該賃貸目的物の明渡しの原因が、もっぱら賃貸人の責めに帰すべき場合、公平の観点から、賃借人に同時履行の抗弁権または留置権の主張を認めることで、敷金返還債務の履行を確保すべきである。したがって、賃借人は、敷金返還債務が履行されるまで、賃貸目的物の明渡しを拒絶することができるとすべきである。
 本件の場合、上述のように、Aが本件建物を明け渡さざるをえなくなった原因は、Kが、本件建物の所有権者であると仮装し、Bに無断でAに賃貸したことにある。そのため、Aが本件建物を明け渡すことになった原因は、もっぱらKの責めに帰すべき事由による。
 したがって、公平の観点から、Aは、同時履行の抗弁権または留置権を主張し、Kから敷金返還債務を履行されるまで、本件建物の明渡しを拒むことができる。
【注】
一般的な論証に留める形で、「同時履行の抗弁権(留置権)は認められない」という結論で終わらせるのでも構わないとは思う。しかし、その場合、自分に全く非がないにもかかわらず本件建物を明け渡さざるを得なくなったAの立場に対するフォローが別途必要だろう。事案の特殊性や結論の妥当性(この事案では、Aが保護されるべきではないか)にこだわるのであれば、既存の論証を修正し、「同時履行の抗弁権(留置権)を認める」という理論構成を試みることもまた必要だと思う。


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!司法試験・予備試験に合格した後、大きな夢を膨らませてほしい。小さいものより、大きなドリームがいい。なぜなら、どうせ、達成できるから、大きいものにしたいから。
 さあ!今日も“ドカ―――ン”と“爆勉”しよう!“スコーン”と行け!絶対合格!!
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