民法

動産質権/井深大の言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!「短答」も「論文」も問題文が分かってくると、楽しくなる。面白くもなる。例えば、「短答アレンジ答練」や「論文過去問答練」を受けるのが、待ち遠しい。理解したことは、実践で試してみる。理解と実践について、ソニー創業者、井深大(まさる)さんは、次のように残している。


<井深大(まさる)の言葉(2)>
「人間として守らなければならないことは、理屈ではなく行動で教えることである」


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!へ理屈を言って、格好ばかりつけていてはいけない。理屈(理論)にそって、行動する。それでこそ、他人は理解でき、評価もし得る。
 では、昨日の答えを、示します。


【解答】民法No.43
 質権
 Aは、質物である時計を、Wを経てTに渡してしまった。352条によれば、動産質権については、質物の継続的な占有がなければ「第三者」に対抗できない。そこで、現在時計を所持していないAは、Tに質権を対抗できないのではないか。Tは、352条「第三者」にあたるかを検討する。
 352条の趣旨が動産の取引秩序維持にあることから、「第三者」とは、質権設定契約における当事者及びその包括承継人以外の者で、動産質権における対抗要件の欠缺を主張するに正当な利益をもつ者をいう。
 時計に係る質権設定契約(344条)は、AT間で締結されたわけではない。ATは質権設定契約の当事者の関係にないため、本件時計の所有者であるTは、Aにとって「第三者」にあたるとも思える。しかし、Tを当然に「第三者」とすると、Aに質権の即時取得を認めた意義を没却する。
 TW間では、本件時計を客体とする寄託契約(657条)が締結されていた。そのため、Wは、Tにとっていわば本件時計の占有補助者と同視できる。このことから、Aにとって、Tは、時計の占有補助者であるWと一体と見ることができる。そのため、Tは、所有権を主張することで、Aの対抗要件である時計の占有の欠缺を主張するにつき正当な利益をもつとはいえない。
 また、Tは、Aからみて、所有する時計に、Wに代わってAのために質権を設定した物上保証人(351条前段)と見ることもできる。
 したがって、Tは、Aから見て本件時計の質権設定契約における当事者に準ずる立場にある者といえ、352条「第三者」ではない。
 以上より、Aは本件時計の質権をTに対抗することができる
 よって、AはTに対し、本件時計の質権を実行することができる。
 一方、質権を実行されて時計の所有権を喪失するTの不利益は、TがWに351条後段・459条を根拠に求償権を行使することで補填を図る。Tは、従前のAのWに対する担保権者としての地位を、Aに代位(500条)することで承継するので、優先的な立場で求償権を確保できる。また、寄託契約違反に伴う債務不履行責任としての損害賠償請求(415条前段)も可能である。
  【注】
 AとTの利益調整の視点を示すことが大切である。質権の分野は短答式試験では頻出事項なので、基礎知識を繰り返し確認しておこう。その際、他の担保物権との違いとその理由も押さえておくことが大切である。


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!問題を面白くとらえると、行動(解答)もしやすくなる。そのためには、いつもプラス思考をし、考えることだ。井深さんなど先人の、教えを、吟味して、自分の身に吸収する。
 さあ!今日も、“スコーーーン”と“爆勉”しよう!行け!絶対合格!!
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