【令和8年予備試験 短答式試験本試験】
令和8年7月19日(日)
【令和8年司法試験 試験日初日】
令和8年7月15日(水)
令和8年カウントダウンは,こちらのページです。

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いつも,読んでくださりありがとうございます。
今日は,スク東先生の中学英語の学習から,ギリシア哲学に肉薄したお話をしましょう。
哲学は,予備試験短答式の一般教養科目でも毎年出題されます。過去問を見ても,抽象度が高く難解な文章ばかり。「興味はあるけれど,難しそうだな」という印象を持つ方も多いでしょう。私自身,哲学書に挑戦しては挫折の繰り返し。結局,何が言いたいのか分からず,途中で寝てしまうのがオチでした。
ところが,哲学への扉は,日常のちょっとした言葉の中にも隠れているのです。
スク東先生は,いつものように中学レベルの英作文を練習していました。「私は手紙を書きます」を英訳する際,”write a letter” とすべきところを,”write letter” と間違えてしまったそうです。そこで「なぜ無冠詞ではダメなのか? a と the の違いは何なのか?」という疑問にぶつかりました。
ネットで検索すると,よく「a は不特定のもの,the は特定のもの」という説明が出てきます。しかし,これだけでは「決まっている・いない」の真意が掴めません。
実は,不定冠詞(a letter)と定冠詞(the letter)の違いが分かりにくいのは,どちらも「具体化された現実世界」の中での区別だからです。その手前には「具体化されていない概念の世界」,つまり「イデアの世界」が存在します。
無冠詞の “letter” は,単なる書き忘れではなく,実は「終わりのない文字の羅列」や「概念としての手紙」を指します。いわば,形のない「手紙の本質」です。
そこから,現実世界に「形はあるが,特定はされていない一通」として切り出したものが,不定冠詞(a letter)。
さらに「私が書いた,あの手紙」と,特定の存在へ具体化されたものが,定冠詞(the letter)となります。
英語の冠詞は【無冠詞(概念)→ 不定冠詞(具体)→ 定冠詞(特定)】というプロセスを経て,解像度を上げていく仕組みなのです。
では,なぜ「概念の世界」と「実体の世界」がこれほど厳格に分けられているのでしょうか。日本語には冠詞がないため,この感覚は非常に掴みにくいものです。
そこには,西洋哲学の伝統的な背景があります。
概念の世界(無冠詞)は,いわば「神の領域」であり,人間の所有や支配が及ばない場所。対して,具体化された現象の世界(有冠詞)は,人間が所有し,制御できる場所です。言い換えれば,概念の世界では人間は責任を負わなくてもよいが,具体の世界では人間が責任を引き受けなければならない。英語圏の文化では,この二つの世界を明確に分け,その境界を曖昧にすることを嫌う傾向があるのです。
「……でも,『神の領域』って何のこと?」と思われるかもしれません。ここで,ギリシア哲学の登場です。
プラトンは「イデアの世界は,人間の理性(ロゴス)によって捉えることができる」と説きました。人間が理性を働かせることで、本来は不可視であるはずの「神の領域」を観念できるというのです。
この思想の背景には、師ソクラテスの悲劇的な死と「洞窟の比喩」があります。プラトンは説きました。人間は洞窟に縛られた囚人のようなもので、入り口から差し込む光が作り出した「自分の影」だけを壁に見続けている存在である、と。
この「影」こそが現実のコピーである「現象界(具体の世界)」であり、影を作り出す太陽や人間そのものが「イデア界(概念の世界)」です。しかし、真実の光はあまりに眩しく、人はそこから目を逸らして、影を見て暮らしている……。
プラトンがこのようにアテナイ市民の現状を説いた一方で、師ソクラテスは民衆に疎まれ、最後は毒を仰いで処刑されました。
約2500年前、真理を追究した哲人の最期がこれだったのです。プラトンは師の死に直面し、人間の恐怖や不安といった感情が、真理への到達を阻むと考えたのでしょう。だからこそ、不安に打ち勝つ強い「理性」を持ち、イデアの世界へ近づくことを説いたわけです。
翻って、日本を見てみましょう。日本史上、イデアの世界(概念)を巡って処刑されたという話はあまり聞きません。
しかし、プラトンが向き合った「万物は流転する(ヘラクレイトス)」と「万物は不変である(パルメニデス)」という対立を統合する思想は、日本にも古くから存在していました。
例えば、鴨長明の『方丈記』の冒頭です。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
前段の「絶えない流れ」が不変のイデア界、後段の「もとの水にあらず」が変化し続ける現象界に相当すると考えられます。日本では、こうした真理を巡って争いが起きるような社会状況になく、むしろ「無常」という自然の摂理として受け入れてきました。ここには、対立する思想をも包み込む日本的な寛容さを感じます。
英語の冠詞という身近な疑問から始まった哲学の旅は、こうして日本古来の無常観へと辿り着きました。言葉の裏にある深い世界を知ることで、皆さんの学びが少しでも楽しく、心が軽くなるきっかけになれば嬉しいです。
絶対合格!!
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