民法

民法No.76[事例式演習]解説編/藤井聡太の言葉(2)


 法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!君は、“師匠”と呼べる人がいますか。そんな方がいれば、幸せだ。いなければ、もっともっと、頑張って、見つける。まだ、10代半ばの天才棋士・藤井聡太四段(14)は、ただ今、前人未到の29連勝中。負けず知らず。そんな少年四段が先生について悟っている。

<藤井聡太の言葉(2)>
「師匠には、技術的なことだけでなく、対局に臨む上での心構えなど、本当にたくさんのことを教えていただいているので、本当に感謝しています」

▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!精神面、技術面で、成長する人は、悩むものである。そんな時、“よい師”がおられたら、幸せだ。何でも質問し、吸収させてもらえればいい。ただ、尊敬と感謝は忘れずに。
 では、昨日の答えを示します。


民法No.76[事例式演習]解説編
Kとしては,Yが支払った代金8万円をYに返還することは認めている。これは,KY間の売買契約(555条)の解除権行使(561条前段・540条1項)に伴い生ずる原状回復義務の履行である(545条1項本文)。なお,KY間の売買契約は,甲を目的物とする他人物売買契約であることはきちんと確認しておこう。
KY間で争われているのは,Kが,Yに対し,Yが乙を購入するために支払った増加代金分の2万円を支払う義務を負うかどうかである。Yとしては,この増加代金2万円分を,損害として,Kに賠償請求することになる。545条3項によれば,解除権が行使されても,損害賠償の請求をすることが妨げられるわけではないので,Yは,解除権を行使すると同時に,損害賠償を請求することになる。
まず,Yとしては,561条後段を根拠に,Kに対し損害賠償請求をすることが考えられる。
しかし,561条後段を根拠とする損害賠償請求は認められない。Yは,Kとの本件売買契約時に,甲が真実Gの所有権に帰属し,Kの所有に帰属しないことを知っていたためである(561条後段)。
そうすると,Yとしては,Kに対し,損害賠償請求として2万円の支払いを求めることはできないのであろうか。Yとしては,Kの言(Gの許諾を確実に得る旨)を信頼したからこそ,本件売買契約の締結に応じたといえる。このことから,Yの損害賠償請求が認められないとするのは,結論として公平ではない。そこで,Yを保護するための法的な構成を検討することになる。
考えられる構成はいくつかあり得るが,まず検討すべきは,Yを保護するための明文規定がないかどうかである。Kが,Yに対し,Gの許諾を確実に得ると明言したことは,換言すれば,Kが甲の所有権を,確実にYに帰属させることを約束したに等しく,KがYに対して甲の所有権を帰属させることができなかった事実は,Yの債務不履行といえる。そこで,415条が規定する債務不履行責任について検討する。
Gが,Yに対して甲の返還を求め,本件売買契約の履行が不能になったことは,Kが,Gに確認することなく勝手な判断でYに甲を売却したことに端を発する。Kの軽率な行為が債務不履行を招いたといえ,Kの責めに帰すべき事由が認められる。債務不履行と損害との間に因果関係が認められることにも特段の問題はない。
415条の損害賠償請求権と,561条後段の損害賠償請求権との比較(両者の関係)についても検討しておくことも大切だ。561条後段と415条とは,各法的性質が異なるため(前者は担保責任の追及を目的とするのであって,後者は債務不履行責任の追及を目的とする。両者とも債務者に対する責任追及という点では共通する。しかし,後者は,債務者の責めを非難する側面をもつ一方,前者は有償契約の対価的均衡を保つことに主眼が置かれ,債務者を非難するものではない等),561条後段が適用されないからといって,415条の適用まで否定されるものではない。
その他,YがKの言を信頼して本件売買契約に応じた事実を捉え,信義則によって,Yの信頼を保護し,YのKに対する損害賠償請求を認める構成もある。ただ,上記415条のように,明文規定を使って解決可能であれば,信義則を持ち出すまでもないので,やはり明文規定による解決の可能性を優先的に探るべきだろう。
【合格の道標】No.36
論文式試験の問題を検討し,分析する際には出題趣旨(司法試験であれば,「採点実感等に関する意見」も加わる)を参照することも大切だ。出題趣旨は,出題者が,当該問題を通じて何を求めているのかを知る手がかりとして,貴重な資料である。
ただ,注意しなければいけないのは,これら出題趣旨等だけを見ても,答案作成における全てが分かるわけではないということだ。
出題趣旨等を読めば,検討すべき事項自体は分かるかもしれないが,何をどこまでどのように書けばよいのかまでは分からない。この「何をどこまでどのように」については,実際に自分で答案構成をしたり,答案作成を行い,参考答案や再現答案との比較対照を通じて身に付けるほかない。例えば,出題趣旨に挙げられている検討事項に触れられたとしても,必ずしも評価されるとは限らない。検討の仕方や程度や適切でなければ評価につながらないからだ。こうした検討の仕方や程度については,バランスや分量配分の取り方の巧拙が影響するため,再現答案の分析等を通じ,テクニックとして身に付けることが大切となる。
また,検討すべき事項や分量等を見極める際には,問題文に書かれた事情から判断する力を磨くことも意識しよう。いわゆる未知の論点や現場思考型といわれる論点については,問題文の事情と条文とを丁寧に照らし合わせながら,何とか導き出して検討するものである。検討事項を的確に導き出すためには,問題文に書かれた事情を正確に読み取り,何をどの程度書くべきか(あるいはなぜこの論点が導き出されるのか)を判断しなければならない。そのため,問題文に書かれた情報こそが,まずは最も大切にすべき情報である。出題趣旨は,先に述べたように貴重な資料だが,あくまで問題文を適切に読み解くための補助テキストとして使うべきである。


▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!人は、成長するもの。進む途中で、ミスをする。そして、悩む。一生懸命、伸びようとしていると、その苦しみを、助けてくれる人が必ず現れる。その人が“師”かも知れない。
さあ!今日も、”スコーン”と”爆勉”しよう!行け!絶対合格!!
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