行政法

行政法ドリルNo.17[解答編]



令和元年、「武藤流0」が始動
予備試験を超速で駆け抜ける男、武藤遼。短距離走、200m自己ベスト21.6秒を記録しながら、予備試験(司法試験)を突破した。そのノウハウを「武藤流0」講座でスタートさせる。0から、一気にゴールに走り込む。戦国時代の宮本武蔵のような、勢いである。年令も同じ20代。本人も言う。本気でやれば、0から、来年の予備試験にも打ち勝つことができる。
▼「武藤流0」の内容は、「法律知識の全体マップ動画」約32時間。詳しくは、説明会が2019年6月1日(土)13:00~14:00に開催されます。
「超速にしないと陥る、2つの縄とは?」これについて武藤流本人が語ります。
▼さて、「武藤流0」とは、これについて以下の通りです。
http://schooltokyo.jp/lp/mutouryu0/
▼若いプロフェッショナル、「武藤流0」に続く。一気に疾走しよう。


【設問】
水道事業者による給水拒否に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア. 水道事業者である地方公共団体が,同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合 それが当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」があり,違法な拒否には当たらない。
イ. 建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について,水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合,その趣旨が,建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度,当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても,それは申込みに対する違法な拒否に当たる。
ウ. 水道事業者である地方公共団体が,建築予定のマンションについての給水契約締結の申込みを拒否した場合,それが,専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」がないため,違法な拒否に当たる。

水道法(参照条文) 第15条第1項水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは,正当な理由がなければ,これを拒んではならない。 1. ア○ イ○ ウ○ 2. ア○ イ○ ウ× 3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ× 5. ア× イ○ ウ○ 6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○ 8. ア× イ× ウ×

【検討】
S東先生「では,アを中心に検討します。まず,昨日花子さんの指摘にあったように,問題文中の『給水契約』に着目します。この『給水契約』から,花子さんはどのような事項を想起しましたか。」
花子さん「給水『契約』とありますので,行政機関(本問では地方公共団体)と私人の契約すなわち行政契約という事項(概念)を想起しました。」
S東先生「そうですね。行政契約という分野の問題であることを想起することが大切です。後に触れることになりますが,アでは行政契約の場面であるがゆえ,『建築指導要綱』すなわち行政指導との関係を検討することがポイントになるのです。では,一般的な概念の理解を確認しましょう。アの契約においては,契約当事者は誰と誰ですか。」
花子さん「地方公共団体と私人です。」
S東先生「アのケースすなわち行政契約の場面における地方公共団体は,行政機関として私人と契約を締結するのでしょうか。」
花子さん「あくまで私人として,相手方私人と対等の立場で契約を締結することになります。契約においては原則として私法の規律を受けますので,お互い対等の関係に立って契約締結を行います。」
S東先生「そうですね。あくまで契約の場面ですので,両者は対等でなければなりません。そうすると,アにおける地方公共団体も私人と対等の立場に立つことになります。では,一方で行政指導についてはどうでしょうか。行政指導を行う際,地方公共団体は私人と対等の立場で行うのでしょうか。」
花子さん「地方公共団体が行政指導を行う際は,あくまで行政機関としての立場で行います。私人と対等ではありません。例えて言うならば,行政機関は相手方である私人に対して『上から目線』で行政指導を行うといったイメージでしょうか。なお,行政指導を定義する行政手続法2条6号は,行政指導を行う主体を『行政機関』と定めています。」
S東先生「いいでしょう。行政指導については,行政処分と対比する形で押さえるとよいと思います。行政『処分』は公益を迅速かつ権力的な(有体に言えば荒っぽい)手段で実現するためには効果的なのかもしれませんが,相手方に及ぼすダメージが深刻です。一方,行政指導はソフトな形で公益と私人の双方の調整を図る調整型の手段です。調整型手段の方が,行政(公益)と私人相互にとって落ち着きの良い結果になるだろう,ということでしょう。ただ,行政指導もあくまで行政機関が権力者の立場で行う手段です。行政『指導』という言葉から連想されるように,『行政機関が私人より上の立場に立って公益のために教え諭し,指導する』といった感じですね。卑近な例で言えば,お行儀の悪いガ・・いや,児童に対して教師がひっぱ・・いや,生活指導をする,といったイメージでしょうか。アを確実に解くためには,以上のように➀契約の場面における当事者の法的立場②行政指導の主体と相手方の法的立場を明らかにしましょう。その上で➀②を峻別することが大切です。では,上記➀②の関係についてはどう捉えるべきでしょうか。さらに以上の整理に基づきアを検討してください。地方公共団体は,行政指導の名の下に建築基準要綱順守目的でもって給水契約を拒否することが出来るのでしょうか。」
花子さん「➀②は別次元の議論です。以上の整理に従うと拒否できません。また,『給水契約』と『建築指導要綱』とは,基本的に関連するものではないようにも思います。」
S東先生「そうですね。行政機関と私人は,あくまで対等の立場で契約を締結しようとしているにもかかわらず,私人が行政指導に従わないことを理由に権力的な立場に立って契約拒否を行うことは許されないでしょう。花子さんの言うように上記➀②は別次元の議論なのですから,アのような行政機関の態度については『それとこれとは別次元の議論である』という批判が可能です。つまり,『水道事業者である地方公共団体が,同地方公共団体が定めた建築指導要綱に基づく行政指導に従わないことを理由に建築中のマンションにつき給水契約の締結を拒否した場合それが当該建築指導要綱を順守させる目的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」があ』るとは言えず,『違法な拒否に』当たります。もし地方公共団体が,当該建築指導要綱を順守させたいのであれば,あくまで当該建築指導要綱と密接に関連する建築確認を留保する等の措置を取るべきでしょうね。もっとも,建築確認の留保を行うにしても,あくまで私人の当該建築指導要綱順守拒否の理由に全く合理性がない場合等に限られるというべきです。」

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