【令和7年予備試験 論文式試験合格発表】
令和7年12月18日(木)
【令和7年司法試験 最終合格発表】
令和7年11月12日(水)
令和7年カウントダウンは,こちらのページです。
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いつも,読んでくださりありがとうございます。
令和7年予備試験論文式試験が,終了しました。
問題文が公表されています。
受験された方にインタビューしたところ,途中答案がなかったこと,自分が書きたいことを書くより,試験委員が何を聞きたがっているかを読み取ることに集中したというコメント。あとは,12月18日の合格発表まで,コツコツ続けます。
さて,今日のブログでは,一般教養対策,ミクロ経済学です。テーマは「外部性」。頻出の問題で,作問者が聞きたがっていると分かります。令和6年でも,出題されました。今回は,令和3年第21問です。数字が出てきますが,計算はなく,少々の基本知識ですぐに解けるようになります。それでは,早速行ってみよう!
問題:ある施設からの騒音で,付近の住民が迷惑を被っている。騒音による住民の損害を金銭に換算したところ,年に1,000万円となった。この施設に防音措置を施すと,年に900万円の費用がかかる。他方で,住民が騒音を避けて,他の場所へ移転すると,住民は年に4,000万円の損失を被ることになる。このとき,次のアからオまでの各記述について,正しいものの組合せを,後記1から5までの中から選びなさい。なお,解決方法を実施するための取引費用はかからないものとする。
ア.住民は年に5,000万円を負担することになり,パレート効率的な資源配分は達成されない。
イ.騒音を出す施設側に損害賠償責任がない場合,当事者間の自発的な交渉は成立し得ない。
ウ.防音措置を施すことによって外部費用がゼロとなるのであれば,課税をせずともパレート効率的な資源配分が達成され得る。
エ.パレート効率的な資源配分を達成するためには.住民に900万円の課税を行って施設に防音措置を施す以外に方法はない。
オ.施設側に損害賠償責任があれば,当事者間で自発的に交渉がなされ,防音措置が施される。
1.ア イ
2.ア ウ
3.イ エ
4.ウ エ
5.ウ オ
正解:5
解説:
<総論>
【パレート効率的】
前提として,誰の効用も下げることなく,少なくとも1人の効用を上げることを「パレート改善」という。そして,「パレート効率的」とは,パレート改善がこれ以上できない状態,つまり,誰の効用も下げることなく,少なくとも1人の効用を上げることができない状態をいう。
【外部性】
ミクロ経済学の一分野に,「市場の失敗」がある。市場の失敗とは,市場が効率的な資源の分配に失敗することをいう。具体的には,「外部性」と「公共財」の問題である。このうち,「外部性」とは,経済活動が,その活動とは無関係の人に及ぼす副次的な効果をいう。外部性には,正の外部性もある一方,「負の外部性」が,特に公害,騒音,日照などの問題である。
【負の外部性の解決方法】
公害や騒音は,周辺住民に損害をもたらす。この損害,企業の工場稼働にかかる費用(私的限界費用)に加え,追加される社会的限界費用である。
負の外部性の解決方法は,①社会的限界費用を,企業の負担する費用に移し替えるよう,政府が課税する(ピグー税),②政府が補助金を出して,企業の負担する費用を肩代わりする(ピグー補助金),③政府に頼らず,公害問題の当事者が話し合いで解決する(コースの定理・シカゴ学派)という3つの方法が考えられる。
①・②の手段の区別としては,住民が被害を受けない権利を持つ場合が①の課税,企業が周辺住民の被害を出す権利を主張できる場合が②の補助金とされる。
(注)オレンジの三角形が,外部性による余剰の減少分である。オレンジの三角形は,赤の三角形と同じ面積(相似図形)である。これをゼロにできれば,最適生産量(Q1)を達成できる。
肢ア:誤り。
施設の騒音問題について,パレート効率的な資源配分を達成するには,住民が負担するのではない。政府が住民の損害(1000万円)について,施設側に課税する(ピグー税)か,施設側に補助金を出す(ピグー補助金)のが適当である。
肢イ:誤り。
施設側が騒音について損害賠償責任がない場合,政府が住民の損害分(1000万円)について,施設側に補助金を出す方法が考えられる。一方,政府の介入を避けたい場合,施設側と住民間の自発的な交渉を行う余地がある。コースの定理と呼ばれる。
(注)コースの定理は,自由な市場競争を理想とするシカゴ学派の思想に基づく。
肢ウ:正しい。
防音措置を施すことによって社会的限界費用(外部費用)がゼロになれば,課税しなくても,パレート効率的な資源配分が達成されるといえる。
肢エ:誤り。
施設側が騒音被害を出す権利を主張できるとしても,住民に課税して解決するのではなく,政府が介入して,防音装置を設置するための補助金を出すべきである。
肢オ:正しい。
施設側に損害賠償責任がある,つまり,住民が騒音被害を受けない権利を主張できる場合である。そして,住民が積極的に施設側と交渉し,防音措置が施されることが考えられる。
いかがでしょうか?行政法でも,政府が企業側と公害防止協定を締結することがあります。行政契約の分野になります。これは,「外部性」について,法学上の第4の解決方法かもしれません。経済学と法学が関連する,興味深い分野といえますね。では,今日も楽しく頑張ろう!
絶対合格!!
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