行政法

行政法No.5[解答編]/作者不明の言葉(2)

 


・よく睡眠がとれた朝は、「行くぞ」とやる気が涌いてくる。嫌なことも、たいしたことがないように見える。ある日、だれだか分からないが、夢の中で、こんなつぶやきが聞けてきた。

<作者不明の言葉(2)>
「よく寝ることから、人生が開ける!」

・頭がさわやかだと、元気が出てくる。勉強や仕事を「やろう!」というエネルギーが生まれる。一日が楽しくなってくる。だから、何事もよく寝ることから、スタートさせたい。

では、昨日の問題の答えを示します。


行政法No.5[解答編]

次の記述について解答せよ。

【問➀】「公権力」の定義
【解答】法が認めた優越的地位によって一方的に国民の法律関係を規律することをいう。
【問②】「撤回」の定義
【解答】ある行政行為が瑕疵なく適法に成立した後に,後発的な事情により当該行政行為の効力を将来的に失わせることをいう。
【問③】OGKは,「OXILEのHIPHOP塾」がそれなりに成功を収めたので,今度は飲食業界に乗り出そうと,「OXILEのrock ‘n’ roll café」を開業しようと考え,行政庁Aに営業許可の申請を行った。ところが,その営業場所の近くに中学校があり,その校長及び生徒の父母らは,生徒が下校時に立ち寄るおそれがあるとして,上記カフェの開業に反対する陳情を行政庁Aに行っている。Aは,このような陳情を理由としてOGKの申請を拒否することができるか。なお,「OGK」で一個の名前である(以下,同じ)。

(参照条文) 食品衛生法
第1条 この法律は,食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。
第51条 都道府県は,飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業 )の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第5号に規定する食鳥処理の事業を除く であつて 政令で定めるものの施設につき,条例で,業種別に,公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第52条 前条に規定する営業を営もうとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,都道府県知事の許可を受けなければならない。
(2) 前項の場合において,都道府県知事は,その営業の施設が前条の規定による基準に合うと認めるときは,許可をしなければならない (以下略) 。
(3) 都道府県知事は,第1項の許可に5年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる。

【解答】Aは,OGKの申請を拒否することができない。父母らの陳情は,あくまで中学生の風紀維持を目的とする。これに対して,AがOGKの営業許可申請を許可するかどうかの判断は,食品衛生法を根拠とする(同法52条)。食品衛生法の目的は,同法1条にあるように「飲食に起因する衛生上の危険の発生」を防ぎ「国民の健康の保護を図る」ことである。そうすると,本問における父母の陳情の内容は,食品衛生法の規律(目的)とは無関係ゆえ,父母の陳情を理由としてAがOGKの申請を拒否することはできない。
【問④】OGKは,上記③の陳情問題を解決し,無事「OXILEのrock ‘n’ roll café」を開業した。カフェの公式SNS等は,時々いわゆる「炎上」騒動を勃発させたりしていたが,それも含めて話題となり,カフェは連日盛況であった。ところが,ある時カフェの客数人に食中毒が発生してしまった。食中毒自体は大事に至らなかった(WC🚻に数回籠る程度で済んだ)ものの,行政庁Aは,自ら策定した処分基準によらず,カフェを1週間の営業停止処分とした。A市処分基準(以下,「本件処分基準」という。)に従えば,営業停止は3日で済むはずだったため,OGKは行政庁Aに抗議した。しかし,対応したAの担当職員は「処分基準は,あくまで内部規則であって法規命令ではない。ゆえにこれに処分基準に従った処分であっても問題ない。」と返答した。本件処分基準は公表されており,内容も妥当であった。また,本問の営業停止処分自体は,根拠法に基づくものであった。この事例で,Aの担当職員の言い分は正当か。
【解答】正当ではない。確かに本件処分基準は,行政規則という内部基準(裁量基準)ゆえ法的効力はない。しかし,本件処分基準は公表されていることから,既に国民に周知されたものである。また,処分基準については公表義務がない(行政手続法12条1項参照)。そうすると,本件処分基準のように(あえて)公表がなされた場合,国民には行政庁が処分基準どおりに不利益処分を行うと信頼する。そこで,本件Aが行った不利益処分は,本件処分基準を無視するものであって信義則(民法1条2項)に反する。
以上から,Aの担当職員の言い分は正当ではない。
【問⑤】上記④の撤回問題を解決したOGKは,コンビニエンスストア「OGKま~と」の経営に乗り出した。東京都S区は,コンビニエンスストアを経営するOGKとの間で,住民に対する住民票の写しの交付を委託する契約(以下「本件契約」という。)を締結した。本件契約により東京都S区区長は住民に対し住民票の写しを交付する権限の一部をOGKに委任したといえるか。
【解答】委任したとはいえない。行政法分野における「委任」とは,当該行政庁が自己に付与された権限の一部を他の機関に委譲して任せることであり,法律の根拠が必要である。本件「委託」はあくまで契約に基づくものであるので,上記「委任」には該当しない。また,「委託」という体裁を取ってはいるものの,単にOGKが経営するコンビニエンスストア「OGKま~と」が住民に対する住民票の写しの交付という事務処理(S区の窓口機能)を機械的に代行するに過ぎず,住民票の写しを交付する権限の委譲がなされたものではないともいえるだろう。
【問⑥】行政代執行にかかる費用につき,行政庁は行政代執行が行われるより前に,国税滞納処分の例により,費用を被処分から徴収することができるか。
【解答】徴収することはできない。「国税滞納処分の例により」とあることから,事前の徴収は予定されていない。「滞納処分」とは,その字義からあくまで特定の行為(不作為)が観念された後を予定するものである。本問では,「国税滞納処分」の知識があれば,当然難なく解けるだろうが,その知識を問うているわけではないだろう。費用は処分に付随して生じることや,費用徴収の根拠規定である「国税滞納処分」の「滞納」という文言に着目することが大切だ。

【ある教師の言葉】

今回は,ある言葉を紹介したい。

「やっていれば,いつかどこかで何とかなるかも知れない。その『かも知れない』に自分を賭ける」(自分三昧)

この言葉は,筆者の中学時代のある体育教師が創った言葉である。この教師は,筆者の担任ではなかったが,学年全体を取り締まる存在として皆から恐れられていた。この教師は,他のクラス内部の問題にまでしばしば介入したものだった。そのため,筆者の学年の生徒は自然とこの教師と関わる(関わらざるを得ない)ことが多く,今でも鮮烈な印象として記憶に残っている。
この教師には粗暴な面があり,ちょっとしたことで生徒を大声で怒鳴って威圧し,殴る蹴るの暴力行為に及ぶことも珍しくなかった。今だったら「体罰」「パワハラ」等としてマスコミが取り上げるようなケースばかりだが,他にも似たような教師が珍しくなかったためか,まあそういうもんだろうという風潮だったのか,恐れられつつもどこか親しみやすく慕われるような側面があったのか,いずれにせよ当時はほとんど問題視されることはなかった気がする。筆者の友人Kは,この教師に何度怒られても懲りることがなく,むしろ怒られた数々の事例を良き思い出として卒業文集に書いてしまうほどであった(Kは,わざわざ「本文で『怒られること』とは,思い切りひっぱたかれることである」と定義づけまでしていた。Kは,ある意味豪胆なのであった。同じ「K」でも,夏目漱石の「こころ」に出てくる「先生」の友人「K」とえらい違いである。)
そんな暴力的な面のある教師だったが,対応に困るような冗談を飛ばしたり,学年集会等で「いい話」を披露することもあった。「いい話」の内容のほとんど全ては忘れてしまったが,上記「」内の言葉だけはハッキリ覚えていた。「三昧(ざんまい)」と言う辺りが若干しゃらくさい気がしないでもないが,それでも含蓄のあるいい言葉だと思う。
この言葉は,要するに自分のやっていることを信じ「何とかなるかも知れない」とポジティブな精神で事に当たろう,ということだ。「継続する」「小さな達成感を重ねて行く」ことも,この言葉の精神に繋がるものだろう。「何とかなるかも知れない」「継続する」「小さな達成感」は,いずれも自信の源泉になり目標を達成する原動力となる。
自信の源泉は,それこそ何だっていいだろう。例えば「自分は○○については負けない」「自分は△△については達成できた。だから次だって大丈夫だ」というものだ。これがないと,「どうせ自分はダメなんだ」とちょっとしたことですぐにあきらめたり,逃げ出してしまう。
他人から見たら取るに足らないことやこじつけでも構わないから,小さな自信の源泉を見つけてそれを積み上げ,目標達成の原動力にしたいものである。


・起きた後、なるべく午前中か早い段階に、事を済まそう。そして、夜、ゆっくりゆっくり、自分の時を楽しみたい。面白く、この一日を過ごそう。

絶対合格!!

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