民法

民法【事例式演習②】解答編/ドン・キホーテの作者、セルバンテスの言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!司法試験・予備試験も、一種の戦いである。十分な受験準備をすれば、「必勝、間違いなし」である。ところが、受験生の多くは、十分な準備もしないで、本番に突入する。そして、“ドボン”になることが多い。そこで、「スクール東京」とわしは、合理的な方法を提供していきたいと思っている。そして、合格へ-。思いは、小説、ドン・キホーテの作者、ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラと同じである。

<セルバンテスの言葉(2)>
「よく準備してから戦いに臨めば、半ば勝ったも、同然だ」

▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!司法試験・予備試験最大の準備は、過去問をフォローすることである。「短答」なら、「体系別司法試験・予備試験短答過去問集(憲・民Ⅰ・民Ⅱ・刑・商・民訴・刑訴・行)」を完全に理解する。「論文」なら「試験委員コメント集(憲・民・刑・商・民訴・刑訴・行・選択科目)」を“できる限り”理解する。そうすれば、「短答」「論文」とも上位合格、最悪でも合格は可能である。
 では、昨日の答えを示します。


民法No.62【事例式演習②】解答編
1 取消しの可否
Cは、9条本文を根拠に、AB間の売買契約を取り消すことを主張する。
しかし、Aを被後見人、Cを後見人とする後見開始の審判(7条、8条、843条1項)がなされたのは、AB間の売買契約の履行後である。そうすると、Cが取り消そうとするA
の「法律行為」であるAB間売買契約は、Aが「成年被後見人」とされる前に行われた。
したがって、AB間売買契約は、9条本文の「成年被後見人の法律行為」ではない。
よって、Cは、AB間売買契約を取り消すことを主張できない。
2 無効の主張の可否
Cは、Aが、AB間売買契約当時、先述のように意思能力を欠いていたので、AB間売買契約は無効であると主張する。
Aが、この売買契約を主張できるのは、設問1小問(1)で述べた通りである。では、A以外のCが、Aの法律行為の無効を主張できるか。
後見人は、被後見人の「財産に関する法律行為」において、被後見人を「代表する」(859条1項)。
この859条1項によれば、「後見人」Cは、AB間売買契約という「被後見人」Aの「財産に関する法律行為」について、Aを「代表」し、同売買契約の無効を主張することができる。上述のように、Aに無効主張権があり、CがAを「代表」してこの権利を行使できるのである。また、Cが、同売買契約の無効を主張することで、Aが、Bの言うがまま、無用な出費を負担させられ、取引社会における不当な犠牲を受けることを防ぐことができる。これは、適切にAの「財産を管理」する行為である。
したがって、Cは、AB間売買契約の無効を主張することができる。
3 追認の可否
Cは、制限行為能力者となったAの後見人(859条1項による「法定」のA「代理権」をもつ)として、AB間の売買契約の追認をする権限をもつ(20条2項参照)。
先述のとおり、Aが、売買契約当時に意思無能力であったため、AB間売買契約は「無効」である。そのため、「追認」によっても、原則として、無効のままである(119条本文)。
しかし、追認権者であるCは、AB間売買契約が「無効」であることを「知って」追認をするので、同契約を有効とすることができる(119条ただし書)。
もっとも、追認により、将来的に有効とするだけでは、追認以前のAの甲所持に「法律上の原因」がないままであり、Aに甲使用料相当額が発生してしまい、Bを不当に利することになる。
後見人による無効行為の追認は、本人の意思及び利益保護を目的とするもので、無権代理行為における本人の追認(113条1項)に類似する。
そこで、Aの保護を徹底するため、Cの追認により、AB間売買契約は、契約当初から有効とすべきである(116条本文類推)。
Bにとっても、売買契約が当初から有効とされることは、その合理的意思に反するものではない。                             以上(1119文字)
[留意事項]
決して条文から離れず、淡々と条文にあてはめて解答することが大切となる。短答式試験でもよく問われる事項である。短答式で問われた事項も併せて整理しておこう。
合格の道標No.29
問題を解答する際には、問題文に挙げられた事実に注目し、条文と丁寧に照らし合わせながら(短答式の場合は、習得した条文知識を想起しながら)検討することが大切となる。問題文の事実、条文や法理論から離れてしまっては、説得力に欠けることになるからだ。たとえば、出題された事項が、たまたま自分の関心分野であったり思考を拡げることができる分野であったりするために、思わず考え過ぎ、書き過ぎてしまうと、かえって「問い」に答えていないと評価されてしまったり、あるいは「法律論の体をなしていない」と評価されてしまう危険がありうる。問題を検討する際に、「考える」ことは、不可欠の要素だが、条文や法理論を使いこなすための手段として「考える」作業が意味をもつことを常に意識すべきだろう。また、具体例を意識する際も、必ず抽象的な理論に戻ることが大切である。具体的な事例と抽象的な理論の双方を常に行き来するようなイメージで理解することに努めると、バランスの取れた形で習得できると思う。


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!ある意味では、「試験開始前に、すでに合格は決まっている!」。このことが分かれば、賢い受験生である。君も、ドン・キホーテに負けず、“面白い英雄”になってほしい。さあ!今日も“スコーン”と“爆勉”する!行け!絶対合格!!
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