民法

民法・物権変動と混同 / 女子レスリング金メダリスト・伊調馨選手の言葉(2)

司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 改善したり、成長することは、楽しい。体にも、いい。そのために、日ごろから、コツコツ準備しよう。いつも勉強するモードを保っておきたい。女子レスリングの伊調馨選手も、No.1になっても、成長を止めない。練習と試合の関係を最高潮にしたいと言う。
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<女子レスリング金メダリスト・伊調馨選手の言葉(2)>
「練習してきたことを、もっともっと出していきたい」
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▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 勉強中、いろんな業界のトップの人たちの言動を注意したい。君の合格に大変、ためになる。
では、昨日の答えを、示そう。
【解答】民法No.30
1.本件土地の所有権移転登記を具備したGは、Oに対して、所有権に基づく建物収去土地明渡請求をすることができるか。以下、検討する。
2.本件土地の所有権帰属について
(1)本件のように、不動産が二重譲渡された場合、本件土地の所有権は、GとOのいずれに帰属するか。その判断基準について検討する。
(2)ア.不動産の二重譲渡の場合であっても、双方の譲受人は、不動産の所有権を不確定ながらも「得」たといえる。そのため、いずれの譲受人に所有権が確定的に帰属するかは登記具備の先後によって決する(177条)。本件の場合、Gが先に所有権移転登記を具備したので、本件土地の所有権帰属についてOに優先する。したがって、Gに所有権が確定的に帰属する。
  イ.もっとも、GはPが告げた虚偽の事実を信じただけで、真実を確かめていない。このような軽率なGは、177条の適用により保護されてよいか。Gが177条の「第三者」にあたるかが問題となる。177条の趣旨は、公示制度に忠実に従って登記を具備した者を保護することにより、自由競争原理に基づく不動産取引秩序を維持することにある。そこで、「第三者」とは、自由競争原理に基づく不動産取引秩序に従う者をいう。具体的には、登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者をいう。本件について見る。たしかにGは、Pが告げた虚偽の事実を信じ、Oに真実を確かめたとはいえない点で、軽率である。しかし、軽率とはいえ、Oの利益をあえて妨害するなどの公示制度を悪用して、他人の権利の実現を妨害する事実までは認められない。そのため、Gは、自由競争原理に基づく不動産取引秩序を乱す者ではなく、Oの登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者にあたる。したがって、Gは「第三者」にあたる。
(3)以上から、本件土地の所有権は、Gに帰属する。
3.本件土地の賃借権の存在について
(1)混同(179条1項本文)
  Oは、Pから本件土地を売買契約により買い受けている(555条)。そのため、Oの本件土地賃借権は、混同により消滅し(179条1項本文)、Gの所有権に基づく本件土地建物収去土地明渡請求権は認められるとも思える。
(2)混同の例外(179条1項ただし書)による賃借権の存続
  ア.しかし、Oは、当初有していた賃借権は、179条1項ただし書の適用によって混同による消滅が否定され、いまだ賃借権が存在すると反論し、Gの上記請求を拒む。そこで、本件土地賃借権は、混同の例外(179条1項ただし書)により、存続が認められるか。
  イ.確かに、Oが復活を主張する権利は賃借権という債権なので、混同(179条1項ただし書)が復活を予定する「物権」にはあたらない。また、Oは当事者であって「第三者」ではない。そのため、179条1項ただし書きは直接適用されない。しかし、179条1項ただし書の趣旨は、混同の効果を制限することで、第三者の権利が一方的に消滅することを防ぎ、公平を図ることにある。そこで、当該権利を存続させることが公平といえる事情がある場合、179条1項ただし書が類推適用される。本件の場合、Oの建物は居住用として、生活の基盤となる。そのため、Oの本件土地賃借権について、存続を認めることが公平である。他方、Oは予め本件建物について保存登記を具備しているため、Gとしては、本件土地を買い受ける際に、対抗要件を具備した借地権(借地借家法10条1項)が存在していることを認識できた。とすれば、Gとしても予測しない賃借権を主張されることにつき、予測することが可能であった。そのため、Gは、Oから賃借権を対抗されてもやむをえなかったといえ、本件土地の賃貸人たる地位はGに当然に移転することにつき、公平に反する事態は生じない。したがって、179条1項ただし書が類推適用され、Oの本件土地の賃借権は存続する。よって、OはGに対して本件土地の賃借権を主張して、Gの請求を拒むことができる。
  ウ.したがって、GのOに対する建物収去土地明渡請求は認められない。
  エ.他方、Gは、Oに対して本件土地の賃貸借契約(601条)に基づき、賃料の支払いを請求することができる。
4.以上によって、Gは、Oに対して、所有権に基づく建物収去土地明渡請求をすることができないが、賃貸借契約に基づく賃料支払請求をすることができる。

以上

【民法の道標】No.14
民法に限ったことではないが、論文式試験の問い掛けには、様々なパターンがある。代表例としては、「法律関係を論ぜよ」「適法か(違法か)」「請求が認められるか」などである。これら代表例は、これまで何度も出題された形式なので、どう答えればよいのか迷うことは少ないだろう。
注意すべきは、例えば「理論的な理由を述べよ」などといった、これまであまり目にしたことにない形式の問い掛けである。これは、一見するとこれまで見たことのないパターンの問い掛けゆえ、どう答えればいいのか混乱してしまいがちだ。しかし、書くべき事項はある程度分かっているのに、論述が混乱してしまうことは非常にもったいない。そのため、どんな形式の問い掛けが出ても、冷静に対処できるようにしておく必要がある。
対処方法については、様々な方法が考えられそうだが、論文式試験では、法的問題点について考え、その解決方法について、法的理論を示しつつ論ずることが求められている。とすれば、問い掛けに対応する答え方としては、「法的三段論法を意識して、問題文を整理して解答する」ことになる。そして、問題文の形式的な問い掛けに合わせるように表題や文末を工夫すると「問いに答える」という姿勢を示すことができる。
以上については、異論のある人もいるかも知れないが、論文式試験を冷静に分析する際の一つの視点として、参考にして頂ければ幸いである。なお、「法的三段論法」については、法学入門を読むと詳しく知ることができる。法学入門の類の書籍は、一般向けの新書でも出版されており、法学の思考方法について気楽に学ぶことができる。法的三段論法を一から学びたい人はもちろん、効率よく復習したいと思っている人も、ぜひ手元に一冊置いておくと良いのではないだろうか。

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