民法

民法No.64【事例式演習②】解答編/渋沢栄一の言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!受験・仕事や人生において、だれでも調子のいい時と、悪い時がある。それは、それでよい。要は、その時々の処遇の仕方である。いわば調整力が、ものをいう。明治の大実業家、渋沢栄一は、後進に警句する。

<渋沢栄一の言葉(2)>
「得意時代だからとて気を緩さず、失意の時だからとて落胆せず、常操をもって道理を踏み通すように心がけて出ることが肝要である」

▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!得意時代も失意時代も、平常心をたもつ、道理をわきまえて進めばいいだけである。渋沢はそうわれわれにアドバイスしてくれている。受験においても、プラス期やマイナス期で、オタオタすることはない。ただ、目標に向かってコツコツ進めばいいだけ。
 では、昨日の答えを示します。


民法No.64【事例式演習②】解答編
1 着目点①
第1に、アの記述そのものが、判例をベースとしているので、当該判例を想起する方法である。アの記述のベースとなっている判例は、決してマイナーというわけではないので、知識として持っているのであれば、迷いなく正誤を判断できる。そうすれば、時間を短縮でき、他の問題に時間を使うことができる。時間に追われる本試験現場では、「いかに迷いなく正誤を判断できるか」も非常に重要だ。当然のことだが、条文や判例知識を押さえることを軽視すべきではないだろう。
他方、アの記述中の「協議において負担した債務」や「債務不履行を理由に・・・解除できない」に着目することもできる。遺産分割協議の効果(相続開始時に遡及・909条本文)を想起すれば、遺産分割協議により、遺産分割は終了し、相続開始時に遡及する。そうすると、遺産分割協議の結果、ある相続人が負担すべき特定の債務は、遺産分割協議そのものとは、別の法律行為として構成される。そのため、当該債務の不履行を理由として、遺産分割協議自体を、債務不履行解除の対象として「攻撃」することはできないことになる。また、909条本文が規定する遺産分割の遡及効を重視すると、解除を認めて再分割を行うことは、共同相続人間にいたずらな負担を強いることになり、法的安定性が著しく害される。
以上のことを一部でも想起できれば、「遺産分割について、債務不履行を理由とする(法定)解除はできないのではないか」という流れに繋げることができるだろう。
2 着目点②
仮に、アの判例について「知らない」「聞いたことはあるが、うろ覚えで自信がない・・」という場合はどうすればよいか。一応「考える」ことも大切といえるが、本試験特有の緊張状態下では、多くの場合「堂々巡り」という事態に陥りかねない。アの記述の正誤は、保留することが無難だ。
その上で、イの記述を見る。イの記述が「誤り」であることは、アの記述に比べれば、容易に分かるのではないか。具体的には、以下の通りである。
遺産分割「協議」という点に着目すると、「協議」=「合意」である。両者は、ほぼ同じといって差し支えないだろう。いったん行われた「協議」=「合意」を、関係者間の新たな合意により、解除することが可能であることは、「私的自治の原則・契約自由の原則」から容易に想起できる。そうすると、遺産分割「協議」を、関係者である共同相続人間全員の「合意」により解除することは、可能だと判断することができるだろう。
このイの記述が「誤り」(つまり、「合意」による解除は可能)ということは、法定解除の可否と対比的に見て、アの記述は「正しい」(つまり法定解除の手段は採れない)ということが推測できるのではないか。記述の正誤を、中身に入り込んで判断するのではなく、形式的な部分から、推理して判断するイメージである。
こうした「記述同士の比較の視点」は、問題を解く上で役に立つことがある。もちろん、不確実性の要素の残る「推測」の域を出ない解答なので、心許ない印象が拭えないことは確かだ。しかし、記述同士の比較の視点をもつことは、「客観的な視点からヒントを得ることができる」というメリットがある。そのため、「とにかく思考しなければならない」という強迫観念に絡めとられ、当該記述単体しか見ずに「ああでもない、こうでもない」という「思考ループ」に陥るよりは、正答にたどり着く確率は高まるだろう。
このように、問題によっては、記述単体しか見ずに「思考」を試みても、正答に至る手掛かりを導けない場合がしばしばである。結論を出すための客観的な判断基準がなければ、正しく「思考」することはできないのだ。そして、「思考」のための判断基準は、過去問演習等を通じて意識的に体得し、自分なりの方法論として常に持っておく必要がある。
【合格の道標】No.30
短答式試験(論文式もそうだが)対策をする上でよく聞くアドバイスの代表例は、「過去問を暗記するな、理解せよ」であろう。例えば、過去問で出題された問題に、微妙な変化球を加えて類似の問題が出題されることも珍しくない。このような問題に出くわした際、単に過去問を「暗記」しているだけだと、「過去問に出た問題と同じだ!」と早合点して、問題文をよく見ないまま解答することになりかねない。
そのため、確かに「過去問を暗記するな、理解せよ」というアドバイスは重要だ。「暗記」という言葉は、「知識を活用・応用するという姿勢を一切捨象し、無暗・無目的に覚えること」と定義づけられ、「暗記」がネガティブで好ましくない概念であることは分かる(とはいえ、これまた言うまでもないことだが、必要な知識をしっかり記憶することは不可欠である。特定の知識があれば、不要な作業をショートカットして正解できる場合も珍しくないからだ)。
一方、注意しなければならないのは、「理解」という言葉である。試験対策において語られる「理解」という言葉は、漠然としており、これを用いる人たちによってその定義も異なるという特徴がある(そもそも定義されないまま、「理解」だけが強調される場合さえある)。
このように、「理解」という概念は、重要でありながらその取扱が難しい。本稿では、「理解」の意味について、あくまで試験問題を解く場面という限定付きで、「学んだ知識や視点を活用・応用できること」と定義付ける。「学んだ知識や視点を活用・応用できる」とは、主に以下①~③の要素で構成される。
①具体的な事例に当たった場合に、関連条文や判例の知識をすぐに想起し、当該事例にあてはめて結論を得ることができること
②テーマは同じだが、過去に出題された問題とは、別の角度から問われていることに気付けること
③効率的で実践的な問題の解法を身に付けていること
今回扱った【事例式演習②】では、主に上記要素の①②に言及している。
以上に加えて(あるいは更に)大切なことは、「過去問を理解する」ことの中身を、自分なりに試行錯誤を重ねて探求し、一定の解答を得ておくことだろう。この試行錯誤を重ね、探求することが、過去問等の問題演習を通じて実践すべき重要事項である。試行錯誤を重ねるうち、例えば、「必要な条文は、即座に想起できなければならない」「この記述のこの箇所はヒントになりそうだ」「概念の定義や趣旨に戻れば、無理なく正解できる」「今回の問題は、あの問題とは似ているが、~という所が違う」等々といったことが、だんだんと感覚として分かってくる。分かってきても、そこで止めることなく更に試行錯誤を重ね、確実かつ効率的に実践できる方法論にまで高めるよう努める。
こうした過程を何度も繰り返すうち、初めて「過去問を理解できる」状態に近づいたといえるのではないだろうか。


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