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本日は、平川先生の小論文講座第4回目をお届けします!
[設問]
*親友と最近連絡が取れません。どうやら、親友はひどく落ち込んでいるようです。何度か連絡を試みた結果、ようやく明日親友と会って話すことになりました。そこでは、どのようなやりとりが2人の間で繰り広げられるでしょう。2人のやりとりを対話形式で解答用紙のA欄に、そしてそのやりとりの中であなたが意図したことをB欄に述べなさい。(慶應義塾大学医学部平成20年度 50分 字数制限不明)
[前回のおさらい]
前々回は、そのピントが本問では何か、設問から読み取ることが大事なことを学びました。そして、前回、そのピントとは、具体的には慶応大学医学部の基本理念にある、「豊かな人間性と深い知性」であることが、分かりました。
* * *
「1917年、慶應義塾大学医学部は世界的な細菌学者として知られる北里柴三郎博士を初代学部長として発足しました。博士は若い頃から民衆のための医学を志し、かつて受けた福澤諭吉の恩顧に報いるため医学部創設に尽力しました。以来長い歴史を刻んできた医学部は、「基礎臨床一体型医学・医療の実現」を理想に掲げ、“フィジシャン・サイエンティスト”の育成に取り組んでいます。それは、研究能力を備えた医師であり、同時に豊かな人間性と深い知性を有し、確固たる倫理観に基づく総合的判断力を持ち、生涯にわたって研鑽を続け、医学・医療を通して人類の福祉に貢献する人材の育成です。それはまさに福澤諭吉の提唱する“実学”の実現に他なりません」(同大学ホームページより)
* * *
[今回(4回目)]
さあ、今回は、いよいよ書き上げます。
50分が、たちました。A君は、答案を完成させたようです。
以下が、A君の答案です。
A欄
私 「どうしてたんだい。心配したよ」
親友 「わるかったな。実は、親父が倒れて、大学受験どころじゃなかった
んだ」
私 「親父さんの様子は、どうだい」
親友 「うん。今は、落ち着いている。でも、しばらく入院するので、経済的に
大変なんだ。それなのに、医学部に行きたいなんて。申し訳なくて」
私 「そうか、つらかったな」
親友 「ああ、……」
私 「ハッキリ言うぞ。親父さんも、進学を望んでいる。どう決めるかは
お前次第だ。でも、苦しくてもやり抜いて、医学部に合格すること、
それが、親父さんへの一番の孝行だと、俺は思う。一緒に臨床研修やろうぜ。
……俺が言いたいのは、それだけだ」
親友 「ああ、……。ありがとう」
(290字)
B欄
私が意図したことは、進学に悩む親友を助け、親父さんの病気看護を手助けすることだ
困難な状況だからと、ここで逃げては、いずれ別の苦難で逃げることになる。それが分かっていて、何も言わないのは友達ではない。彼が医学部入試に立ち向かい、合格することは、自分自身が医師になった時、病に悩む患者を、救うことに通じる。父親は、息子の頑張る姿を見て、どれだけ勇気付けられることか。病気治療にも、役立つだろう。
ただし、言い方には気をつけ、説教がましくは言わなかった。
人は、困難に遭っても、逃げずに、一生懸命に対処すれば、直面している現実の方がやさしくなってくれる。この世には、神様のような存在がいて、命がけで生きている人を助けるに違いない。本人も合格し、お父さんの病気も、治る可能性が出てくるだろう。(339字)(A、B欄合計629字)
平川先生「『豊かな人間性と深い知性』に答えるよい答案です。
内容的にいって、A欄の『私』と『親友』とのやり取りも、自然です。短い言葉に『私』の『親友』への思いやりの気持ちが出ています。
また、B欄の意図したことについても、単なるカウンセリングの話に終わっていないところがよいと、思います。 形式的にいっても、50分で629字は、『答案構成』に15分はかけるべきだから、ちょうどいい数字だと思います。出題者の意図に答える合格答案だと考えます。
さあ、この調子で、2019年の合格目指して、さらに文章力をつけていこう」
A君「あの、先生、すいません。『答案構成』って何ですか?」
平川先生「え、『答案構成』って言葉を知らなかったの。『答案構成』とは、文章の組み立てのメモ書きのことだよ。キーワードを書いて、それを簡単な表や図にして、書くべきことを整理する作業なんだ。
今回は記述の仕方が、A欄、B欄と指定されていて、形式的には書きやすかったから構成を考えることは、それほど必要なかったね。しかし、出題者の意図をつかみ、的確に答えていく上で、表や図を書いて整理することは、とても大事だ。
次回は、文章の構成をしっかり作る必要のある問題に、取り組んでみよう。お楽しみに」
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