行政法

行政法ドリルNo.15[問題編]

本日は,令和元年初日です。新時代のスタートです。皆様,お元気でご活躍ください。「成川豊彦」


【設問➀】
行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.裁判所は,出入国管理及び難民認定法に基づく,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかに関する法務大臣の判断について,それが違法となるかどうかを審理,判断するに当たっては,上記法務大臣の判断が裁量権の行使としてされたものであることを前提として,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により上記判断が全く事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により上記判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し,それが認められる場合に限り,上記判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとすべきものである。
イ.高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等に係る文部科学大臣の判断について, 教科用図書検定調査審議会の判断の過程に,原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況,教育状況についての認識や,検定の基準に違反するとの評価等に看過し難い過誤があって,文部科学大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,上記判断は,裁量権の範囲を逸脱したものとして,国家賠償法上違法となる。 ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,処分行政庁の判断の基準とされた認定の基準に現在の最新の医学水準に照らして不合理な点があるか否か,公害健康被害認定審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があってこれに依拠してされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かといった観点から行われるべきものである。

[分析のためのダイアローグ]
S東先生「行政裁量の問題に接した場合,花子さんなら,どこに着目しますか。」
花子さん「とりあえず,判断基準です。まあ,『社会通念に照らして裁量権の逸脱濫用が云々』という判断基準が示されていれば正しいだろうな,と判断して先に進むことにしています。」
S東先生「なるほど。しかし,その視点で解くと本問みたいな問題を確実に正解できるでしょうか。特にウなんていかがでしょうか。」
花子さん「そうですね・・。ウについては特に違和感を覚えなかったんです。」
S東先生「行政裁量の問題については,判断基準として様々な考慮要素が挙げられているせいか,『何となく』解いてしまいがちですが,問題文において着目すべき点があります。着目点については,記述同士の比較から見えてくることもあります。では,じっくり検討して頂きましょう。」
【設問②】
建築の分野における行政指導に関する次の記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,その正誤を解答しなさい。
建築主において自己の申請に対する建築確認を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を真摯かつ明確に表明している場合であっても,行政指導の目的とする公益上の必要性が失われていないときは,行政指導が行われていることを理由に建築確認を留保しても,違法ではない。

[分析のためのダイアローグ]
S東先生「著名な最高裁判例の理解を問う問題ですね。本試験で何度も出題されている判例なので,楽勝だな・・と思われるかも知れませんが,問題分析の視点が定まってなければ確実に解くことは出来ません。理論的な視点を捨象したまま,ただの水掛け論に終始した議論を展開してしまうことがあるからです。この問題を通じ,分析のための視点をどこに置けばよいのかを学びましょう。」
花子さん「分かりました。ちょっと時間を取って,この問題を考えてみます。」
S東先生「そうですね。以前に述べたように,法学系の試験問題を『考える』とは,基礎知識(条文,判例や定義等)を臨機応変に操作することです。そのことを念頭に置いて検討して頂きたいと思います。」

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