X株式会社は,公開会社でない取締役会設置会社であり,その保有する建物及び用地 (以下「本件不動産」という )において「リストランテL」の名称でレストランを営んでいる。X社の貸借対照表の資産の部に計上されている金額は,そのほとんどすべてが 本件不動産の帳簿価格で占められている。なお,X社の代表取締役はAであり,また,X社において特別取締役制度は採用されていない。これらを前提として,次の場合について,【設問】に答えよ。
【設問】
Aは,Y株式会社に対し,本件不動産を5000万円で譲渡し,その所有権移転登記手続を了した。Y社は,取得した本件不動産の建物を改装して,電化製品の販売店を営むことを予定している。Aは,この取引に先立ち,X社の取締役会の承認も株主総会の承認も得ていない。その後,Aに替わってX社の代表取締役に就任したBは,Y社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるか。
[分析のためのprologue]
S東先生「今回は,前回までと変わりやや長文の事例問題です。こうした長文の事例問題においては,問題文に書かれた事実から的確に論点を抽出し,理論構成をすることが求められます。では花子さん,今回のような事例問題を解く際に注意すべき点を思い付く限り挙げてください。」
花子さん「まずは問題文の事実や問い掛けを正しく把握することでしょうか。試験の現場では,どうしても時間に追われて焦りがちですが,そのせいで問題文等の把握が疎かになってしまっては出題者の意図に沿った解答をすることなどできないからです。」
S東先生「そうですね。問題文に書かれた事例や問い掛けの正確な把握は,当然といえば当然のことなのですが,非常に大切なことですね。問題文の事例や問い掛けを正確に把握することは,検討すべき論点抽出を行うためのみならず問題文中から看取できる特殊事情すなわち応用的な論点に気付くためにも必要不可欠です。もちろん,基本論点を正確に習得し,それを再現できることが前提です。本問の問い掛けは,『Aに替わってX社の代表取締役に就任したBは,Y社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるか』です。この問い掛けを見て考えるべきことは何でしょうか。」
花子さん「『Bは,Y社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるか』と書かれているので,『BがY社に対して本件不動産の所有権移転登記の抹消を求めることができるためには何が必要か』です。」
S東先生「そうですね。問題文の問い掛けに応答する形で,要件検討の形に持ち込むことは検討事項を確定する上で有効な方法です。では,問い掛けを意識しながら本問における検討事項を確定しましょう。」
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