刑法

青木功プロ・ゴルファーの言葉(2) / 【法務省発表】

司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 法務省より、「平成27年司法試験予備試験の試験場」が発表された。司法試験・予備試験ともに、本試験まであと1か月半ほどとなった(詳細な日程は、司法試験・予備試験までのカウントダウンまで)。わしは、2015年4月5日(日)午後6時から2時間で、平成27年「予想論点(憲法)」講座<ライブ(通学/ネット電話)/wma音声>をやる。ぜひ、参加してほしい。また、わしは「成川合格塾」で、いつでも待っています。どんな相談でも、“スコーン”と解決します! 絶対合格!!
▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 受験でも、ゴルフでも勝つ(受かる)ために、日々、技を磨く。72歳の青木功プロ・ゴルファーも、今日も勝負に出る。“世界のアオキ”の名言がある。
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<青木功選手、プロ・ゴルファーの言葉>
「失敗したら、悔やむ前に喜べ」
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失敗するということは、まだ成長の余地があるということ。これは、喜ぶべきだ。もともと、失敗と成長(不合格と合格)は、同じ性質をもつ。
では、昨日の答えを示します。
【解答】刑法No.9
最決昭57年 2月17日は、
◆幇助罪の個数は、正犯による実行された犯罪の個数に従って決定される。
◆幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法五四条一項にいう一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。と判示している。つまり、判例は「幇助犯の罪数は、正犯の罪数に従う。共犯の罪数が観念的競合になるかどうかは、幇助行為を基準とする」のである。判例の理解の方法としては、罪数論と刑罰論を分けて考えると、理論的に覚えやすいように思う。すなわち,罪数論に関しては,構成要件が該当する数(法益侵害の数をイメージしてほしい)を基準にする。そして、共犯の処罰根拠は,正犯を通じて法益侵害を惹起した点にある。したがって、正犯が構成要件に該当する数(法益侵害の数)の分だけ、共犯の処罰根拠が発生すると理解する。
また、罪数と関連し、刑罰がいくつ発生するかの話がある。これは,裁判において,国家の刑罰権がいくつ発生するかの問題である。刑罰権を発動させる刑事裁判においては,事実を厳密に確定する。そのため、共犯者が行った事実を基準に、刑罰の個数を政策的に判断すると考えると、刑罰論で共犯を基準とすることが、理解できるように思う。
 ① 牽連犯の関係にある正犯の行為を2つ以上の行為によって幇助した場合には、その者には幇助罪が数罪成立する。
 →牽連犯の関係にある正犯には数個の罪が成立するので、正犯の罪数を基準にすると、共犯にも幇助罪が数罪成立する。よって、正しい。
 ② 幇助行為を1回のみ行なった場合においても、正犯がそれによって数罪を犯したならば、その者には幇助罪が数罪成立する。
 →正犯には数個の罪が成立するので、正犯の罪数を基準にすると、共犯にも幇助罪が数罪成立する。よって、正しい。
 ③ 幇助行為を数回行なった場合においては、正犯の実行行為が単純一罪を構成するにすぎない場合でも、その者には幇助罪が数罪成立する。
 →正犯には1個の罪しか成立しないので、正犯の罪数を基準にすると、共犯にも幇助罪が1罪成立するはずである。よって、誤り。
 ④ 正犯が複数人存在する場合において、正犯それぞれの罪を1個の行為によって幇助をした場合、その者には幇助罪が数罪成立し、これらは併合罪の関係に立つことになる。
 →1個の幇助行為であるから、幇助罪の数罪については観念的競合となるはずである。よって、誤り。
 ⑤ 正犯の罪が科刑上一罪の関係にあって、それを1個の行為によって幇助した場合、その者には幇助罪が数罪成立し、これらは観念的競合の関係に立つことになる。
 →1個の幇助行為であるから、幇助罪の数罪については観念的競合となるはずである。よって、正しい。 ①  ②  ⑤ の3つとなる。
【注】
 ① 共犯者が2個以上の行為をしていることは全く関係がない。なぜなら、判例によれば、正犯に数罪が成立する以上、共犯者にも数罪が成立するからである。
なお、例えば、住居侵入罪と窃盗罪の場合,住居侵入罪の法益である管理者の住居権と,窃盗罪の法益である占有権の2つの法益侵害が発生する(法益は諸説あるが割愛する)が、これらは牽連犯となり、科刑上一罪(刑罰が1個)という点に注意したい。
罪数に関して基本的には、構成要件該当性の数と考える。しかし、構成要件該当性の数を厳密に考えると、各構成要件を検討しなければならなくなり、特にスピードが求められる短答試験では現実的ではない。
そこで、構成要件を通じて保護する刑法の目的は、主として法益の保護にあることに着目すれば、法益侵害と構成要件該当性の数と基本的には数が重なることが分かる。そのため、頭の中では、法益侵害を基準に数を考えると実践的である。
そして、法益侵害の数を基準に、罪数を考えた結果,牽連犯は,複数の法益(上記例では,管理権の住居権と占有権)が侵害されるため,数罪成立することになるのである。この理解を前提に、共犯の処罰根拠は、正犯を通じて法益侵害を惹起したという数を基準に発生すると理解する。
したがって、共犯にも処罰根拠の数だけ犯罪が成立すると考えられるのである。
 ② 注 ① と同様に、正犯が基準となるのであるから、共犯者の行為が1個であったとしても、結論には影響しない。
ここでの注意は、やはり、罪数論と刑罰論を分けることである。共犯の幇助行為は、1回であるため、これらは観念的競合となり,刑罰論上は,科刑上一罪となる。しかし、問いである罪数論としては、正犯を基準に判断するのである。
 ③ 幇助行為の個数を基準としてしまっている時点で誤りである。共犯者が100回幇助行為をしようとも、正犯に成立するのが単純一罪ならば、共犯者にも一罪しか成立しないのである。判例の「◆幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法五四条一項にいう一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。」という部分は、正犯に数罪が成立する場合を前提としているのである。
なお、刑罰論では,数回の行為を共犯が行っていることから,包括一罪と評価すべきと思われる。ここでも、罪数と刑罰を分ける発想が重要となる。
 ④ まず、正犯についてみると、複数の正犯が存在するので正犯には数罪が成立する。したがって、共犯にも数罪が成立する。その上で、共犯の数罪の罪数処理については、「一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。」わけであるから、幇助行為の個数をみることになる。
幇助行為の個数を見ると、自然的観察のもと、1つの行為で行われているので、科刑上一罪と考えることができる。罪数は複数罪だが、刑罰は、一罪と理解する。
 ⑤ 正犯の罪が科刑上一罪の関係にあるということは、正犯には一罪ではなく、数罪が成立していることになる。したがって、共犯にも数罪が成立する。その上で、共犯の数罪の罪数処理については、 ④ と同様の判断をする。
罪数論については、構成要件該当性の数(法益侵害の数)は示した通りである。科刑上一罪が,数罪成立するかの詳細な説明は,【注】 ① に示した通りである。この理解からすると、共犯の処罰根拠は、正犯を通じて法益侵害を惹起した点にあるから、正犯を基準とした数罪が共犯に成立するのである。このように、罪数論と刑罰論を分けて理解することが重要である。
本問題においては、2段階の思考が必要とされる。第一に、「正犯の罪の個数を検討する」ことである。これが、上記判例の前半の説示部分である。第二に、「共犯の数罪に観念的競合の関係が存するか検討する」ことである。これは上記判例の後半の説示部分である。この2段階思考を同時あるいは順序を逆に検討してしまうと、結論を誤ってしまう。論理的に上から整理すること、すなわち、『まずは正犯から』という基本に立ち返ることが大切である。
ただし、判例を理解する際は、なぜ判例がその結論をとっているのかを、基本理論に立ち返って理解する必要がある。その整理をしないでいるとすぐに忘れてしまうからである。この姿勢は,罪数論の学習においても不可欠である。
刑法では、基本を重視し、論理的段階的に思考することが必要である。

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