民法

元プロ野球選手・清原和博の言葉(2) / 請負契約の解除

司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! プロ野球での通算本塁打数歴代5位、通算サヨナラ本塁打数歴代1位など現役時代は人気のあった清原和博選手。ケガ、離婚、薬物疑惑など波乱万丈だった。暴れん坊の元スラッガーは、しんみり語る。
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<清原和博さん(元プロ野球選手)の言葉>
「今は、体力的にも、精神的にも、きつい。自分のためには、そんなには頑張れない。人のためだったら、頑張れる。みんなのために、役立ちたい」
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年令がいき、いろんなことを経験して来たら、人は変わる。清原さんのように、よく変わりたいものだ。
では、昨日の答えを示します。
【解答】民法No.20
請負契約の解除
1. ① Kの言い分が正しい場合
(1)635条
  ア.Jの工事は、いまだ基礎工事段階であり、基礎工事には「瑕疵」等の問題がない。また、基礎工事段階のため、邸宅を建築するという「仕事を完成する」前の段階である。そのため、仕事完成後の請負人の瑕疵担保責任に関する635条は適用されない。したがって、JはKに対して、担保責任としての請負契約の解除権(635条本文)を主張することはできない。
(2)641条
  イ.そこで、Jは、641条を根拠に請負契約の解除を主張する。641条が、注文者に自由に解除権行使を認める趣旨は、注文者にとって仕事を完成させることが無意味となり、請負契約の目的を達成できなくなったためである。そのため、Jは、Kの基礎工事に問題がなくとも、もはやKとの請負契約を継続する必要がないとして、自由に契約を解除できる。もっとも、契約を途中で打ち切られる請負人に生ずる損害(例えば請負人自ら材料費等の費用を投じている場合)を填補することで、当事者間の公平を図る必要がある。そこで、注文者は、641条によって契約関係の終了を主張し、請負人に損害賠償を支払う必要がある。 
  ウ.したがって、Jは、641条を根拠に、Kとの契約関係を終了することができる。ただし、解除に際して、Kに対して損害賠償を支払わなければならない。
2. ② Jの言い分が正しい場合
Kの基礎工事に問題がある場合である。そのため、Jとしては、損害賠償を支払うことが必要となる641条ではなく、Kの責任を追及する形で、契約の解除を主張したい。
(1)635条本文
Jは、635条本文を根拠に契約関係の終了を主張することが考えられる。しかし、635条は、仕事完成後の段階を予定する規定である。しかし、本件は未だ仕事完成前の基礎工事段階である。したがって、Jは、635条本文を根拠に契約の解除を主張することはできない。
(2)541条
  ア.基礎工事段階なので、仕事の完成後を予定する635条が適用されないことは、 ① と同じである。
  イ.Jが追完を求めたにもかかわらず、Kは基礎工事を続けようとしている。そこで、Jは541条を根拠に契約の解除を主張する。以下、この主張の可否を検討する。請負契約における債務は、仕事の完成である。では、Kが基礎工事の追完に応じないことは、541条の「その債務を履行しない場合」に該当するか。
   (ア)541条の趣旨は、一方の当事者が債務を履行しないため契約の目的が達成できず、もう一方の当事者に解除を認めることで、契約の拘束力から解放することにある。そのため、「その債務」とは、履行されなければ当該契約の目的が達成できない債務をいう。
   (イ)建築物を完成する請負契約の場合、契約の目的は、安全性を備えた建築物を完成させることである。基礎工事に問題があれば、完成後に建築物が倒壊する危険があり、安全性を備えていない。したがって、基礎工事に問題のある建築物は、瑕疵のある仕事になり、請負契約の目的を達成できない。そうであれば、基礎工事に問題がある場合、追完があれば、これに応じることが、瑕疵のない安全性を備えた建築物を完成する目的達成のために不可欠である。したがって、問題のある基礎工事の追完に応じることは、請負契約における請負人の「その債務」である。よって、請負人が、問題のある基礎工事の追完に応じないことは、「その債務を履行しない場合」に該当する。
  ウ.本件の場合、基礎工事に問題があれば、完成した邸宅は、倒壊する危険があり、安全性の備えていない。したがって、Jは、541条を根拠にKとの請負契約を解除し、Kとの契約関係を終了することができる。
【注】
請負契約は、短答ではしばしば出題されている。請負代金や損害賠償金の支払をめぐる論点など、論点の数も多い。論文対策もしっかり行っておこう。
【民法の道標】No.9
複雑な事例の「一行問題化」
論文式試験で出題される問題は、事例問題が大半である。その事例は、長く、そして複雑である。登場人物やその主張等を把握するだけでも大変だ。特に、最初に問題文を読んだときに、複雑な事実を前にすると、混乱やあせりを招いてしまいがちだ。文字通り最初に問題文を読む段階というのは、いったい何の問題なのかわからず不安を抱えながら読むから、なおさら小さなことが気になってしまう。設問で、たとえば「不当利得の要件の充足性を検討せよ」と明確な指示があれば別だが、大抵は「法律関係を論ぜよ」という形になっているから、設問のみから「問い」はわからない。そこで、「問い」から離れないために大切になってくることが、「複雑なことがあれこれ書かれてはいるけれど、結局、不当利得の要件が問われているんだな。特にこの事例では、「法律上の原因の有無」が、メインとして問われているようだ」というように事例問題を、高い視点から眺め、「一行問題化=抽象化」することが有効になると思う。
この「一行問題化=抽象化」の作業ができれば、あとは要件の充足性を、できる限り丁寧に行っていくことになる。
もちろん、「一行問題化」できたからといって、それで安心できるものではないのだが、「結局、不当利得の基本的知識が問われているのだな」ということが分かれば、試験独特の心理的なストレスが、少しは軽減されるのではないだろうか。
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