民法

数種の解除 / 二宮金次郎の言葉(2)

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  第3回:2015年1月11日(月・祝)
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  第10回:2015年1月6日(水)
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司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! 大晦日。気がせくこともあろう。そんな中、スランプになったり、なりかけた時は、少し休む。その後すぐ勉強して、スランプを乗り越える。明日の「正月の叫び2016」では、スランプをかます。気分一新のために、参加を勧めたい。ライブ(通学/ネット電話)と「正月の叫び2016DVD」で、体験できる。
さて、スランプや苦しさにおちいったら、江戸時代の農政家、二宮金次郎(尊徳)は、次のようにしていた。
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<二宮金次郎(農政家)の言葉(2)>
「寒さに耐えかねた時は、働いて温まるのがよい」
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▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! スランプや寒さ(苦しさ)がなんだ。よく働いて(学んで)、スランプや寒さ(苦しさ)を乗り越える。決して、しょげたり、逃げたりしない。
では、昨日の答えを出します。
【解答】民法No.37
 1. 債務不履行解除
  Gは、食材に菌が付着した弁当を提供したことにPの債務不履行があるとして、Gとの売買契約(民法(以下、省略)555条)を解除したい。しかし、本件では、債務者Pに菌の付着につき一切の責任はなく、債務不履行責任を追及される要件を欠く。
  したがって、Gは、債務不履行解除による契約解除を主張することは認められない。
 2. 合意解除
  GP間で、本件売買契約を合意解除することが考えられる。しかし、Gが弁当の危険性を指摘して、今後の配達を拒否する旨告げたにもかかわらず、Pはこれに応ずることなく配達を続けようとした。そのため、GP間で売買契約の合意解除が認められる可能性は低いと思われる。
 3. 担保責任追及の手段としての解除主張
  そこでGは、売買契約における担保責任を追及する手段として、売買契約の解除の主張・損害賠償請求(570条本文・566条1項)をしたい。本件の弁当の食材に付着した菌については、人間の視覚による認識は不可能であると同時に付着の原因が不明である。したがって、通常の一般人の能力では気付くことができず「隠れた」といえる。
  他方、弁当の食材に付着した菌は病原性を有する。そのため、弁当は、食料として通常有すべき清潔かつ安全な品質を欠いている。そのため、「瑕疵」が認められる。
  では、GP間の売買契約は、566条1項前段「契約をした目的を達することができないとき」にあたるか。Pは、もう弁当は安全だとして翌日から弁当を再び配達しようとしたことから、「契約をした目的を達することができない」といえないのではないか。570条本文・566条1項の趣旨は、売買の目的物に「瑕疵」が存在するため、買主が売主による履行をもはや受け入れることができない場合に、買主を契約の拘束力から解放し、公平を実現することにある。かかる趣旨から、「契約をした目的を達することができないとき」とは、目的物の「瑕疵」が、買主のみならず一般通常人にとって、売主の履行を受け入れることのできないほどに重大であることが客観的に認められる場合をいう。「契約をした目的を達することができない」のだから、売主は目的物を調達する義務を負わないし、調達して買主に提供すべきでもない。本件におけるGP間の売買契約の目的は、Gが安心して食べることのできる安全な食材を使用した弁当を、Pが継続して提供することにある。ところが、弁当の食材には病原性を有する菌が付着し、安全性を欠いている。そのため、Gとしては今後安心して弁当を食べることができなくなった。菌が付着し、安心して食べることのできない弁当は、生命身体の安全に深刻な影響を及ぼす危険があるため、Gのみならず一般通常の消費者にとっても、今後Pの履行を受け入れることができない品質の欠缺たる「瑕疵」のあることが客観的に認められる。
  したがって、GP間の売買契約は、「目的を達することができないとき」にあたる。売買契約の目的を達することができないのだから、Pは、弁当をGのために提供する義務を負わない。
  よって、Gは、Pに対して売買契約の解除を主張することができる。

以上

【注】
 GP間の事情を見る限り、Gに解除の主張を認める必要性が高いと思う。そこで、不特定物を目的とする売買契約においても、570条・566条1項に基づく解除を認められないかと考えて作成した答案が、今回の答案である。法定責任説に沿って検討する答案が無難なのかもしれない。しかし、「この事案で解除が認められないのはおかしいのでは」と思う方は、今回の答案を参考にしていただければと思う。
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