民法

民法No.84[事例式演習]解説編/吉田茂の言葉(2)

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法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!連敗者のかなりの人が、グチをよく言う。しかし、そんなことでは、何にも生まれない。勉強で疲れた時は、敗戦直後の内閣総理大臣、吉田茂の話を聞いてほしい。

<吉田茂の言葉(2)>
「忙しいと疲れたは、自慢にならん」

▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!一人前の男・女は、人前で「忙しい」「疲れた」は、絶対に言ってはいけない。なんにも、ならない言葉だから、聞いた人は、「だれでも、忙しいし、疲れているのだ」と内心で思うだけである。心したい。

では、昨日の答えを示します。


民法No.84[事例式演習]解説編

①KY間の関係を洗い出す(契約関係の有無とそれに応じた法的構成)
Yとしては,Mに本件機械の修理代金の支払いを請求したい。しかし,Mは雲隠れしてしまい,Mに修理代金の支払いを求めることは事実上不可能だ。そこで,Yは,元々本件機械を修補すべき義務(634条2項前段)を負うKに修理代金相当額の支払いを請求することになる。ただ,KY間に契約関係は存在しない。そのため,YがKに対して,Y自身の権利としての支払い代金請求権や債務不履行責任に基づく損害賠償請求権(415条)を求めることはできない。
②関連判例と本件事案の関係を意識する
KY間に契約関係がないことに着目した法律構成として,不当利得返還請求権(703条)が考えられる。
Kとしては,結果として本件機械の瑕疵修補義務を免れており,Yとの関係で一方的に利益を受けているかに見える。著名な「転用物訴権」の判例のケースに似ていなくもない。これは不当利得で決まりだな。「転用物訴権」の判断枠組みを使えそう・・と行きたいところだが,ここは慎重になるべきだ。「判例そのまんま」とは限らない。むしろ判例で争われた事案とは異なる要素が必ずあると見るべきだろう。本件の事案と「転用物訴権」として不当利得構成を認めた判例の事案との違いを明らかにするために,同判例の事案を(KM間の契約を賃貸借契約とする)概略的に説明すると,以下のようになる。
 判例の事案では,MがKから本件機械を賃借していた。Kは,Mとの特約に基づきMに修理義務(=費用償還義務)を負わないことになっていた。つまり,Mは自分で修理せよということである。一方,MがKに支払うべき賃料が,Mが自ら負担すべき修理代金に応じて減額された事情もない。YはMから修理代金を未回収であるにもかかわらず,Mは無資力。KはMとの間で修理義務は,負担しない賃料そのまんま,おまけに本件機械をある意味「棚ぼた的」にリニューアルしてもらっていい気なもんだ。Yの労務により,Kは無償で本件機械を「おニュー」にしてもらったに等しく(Yの「損失」がKの「利益」に帰したと社会観念上認められる)。YとKとの修理代金を巡る処理としてはいかにも不公平だ。Yは,無資力のMに代わって修理代金債権を行使することもできない。KM間の特約があるためだ。以上から,YのKに対する不当利得返還請求権が認められた。
翻って本件はどうか。本件のKM間では判例の事案のような特約はない。Kは,原則通りMに本件機械の瑕疵修補債務(=修理義務)を負っていた。しかも,Kはこの義務を履行せず放置した結果,Mはやむを得ずYに修理を頼み,Yに修理代金支払い債務(こちらも請負契約に基づく債務である)を負ったのだ。このMのYに対する債務は,上で見たように,KのMに対する債務不履行により誘発された。これは要するに,MはYに対する修理代金を損害として,Kに対して債務不履行責任に基づく損害賠償請求権をゲットしたということだ。Mが行方不明になったとはいえ,Kに対して権利行使できることに変わりはない。つまり,Mに対する債務を免れていないKは,703条の「利益」を得たとはいえないことになる。
一方で,Yの「損失」はどうか。上で述べたように,MはKに対して損害賠償請求権をもつ。これは未だ行使されていない。しかも,Mは多額の債務を負い無資力である。そこで,Mに修理代金債権をもつYとしては,この債権を,Mに代わって行使することで修理代金債権を回収したい(423条1項本文)と考える。この方法は認められるだろう。さらに,本件の代位債権は損害賠償請求権という金銭債権である。そのため,Yは,Kに対して直接自己の下に修理代金相当額の金銭を引き渡すよう求めることができ,Mとの間で相殺を行うことで,自己の債権について事実上,優先的に弁済を受けることが可能だ。このことは,Yにおいて,Kとの関係で「損失」が観念できないことを意味する。したがって,Yは,MのKに対する損害賠償請求権を代位行使できる一方で,Kに対して不当利得返還請求権を行使することはできない。
この点,よくある「参考答案」の類では,Kが本件機械の請負代金を受け取っていることを「利益」とし,Kが損害賠償支払債務を負っていることを捉えて,「契約を全体として見て,利益に対価性がある」として当該「利益」に「法律上の原因」があるとしている。しかし,仮に当該代金を「利益」としても,これはYが修理したために得た利益ではない(Yが修理したために得たKの利益は,本件機械を修理しなくて済んだ事実上の利益に過ぎず,この利益は損害賠償支払債務により封じられる)。判例の言い回しを用いれば,「Mの無資力のため,右修理代金の全部または一部が無価値であるときは,その限度において,Kが受けた利益はYの財務及び労務に由来したものということができ」ないのだ。つまり,Yの「労務」等の負担とは関係がない。また,本件ではYの「損失」がKの「利益」に帰したと社会観念上認められる事実もなく,因果関係が認められない。
あるいは,本件は,転用物訴権の定義にも当たらない。転用物訴権とは,「契約に基づく給付によって契約外の第三者が利得した場合に,その第三者に対する利得返還請求権」をいう。この定義に沿うと,本件の「契約に基づく給付」とは,MY間の請負契約によるYの本件機械修補である。このYの「給付」により,請負「契約外の第三者」Kに,何らかの「利得」が認められるだろうか。
なお,不当利得返還請求権を媒介にすると,詐害行為取消権と債権者代位権の比較を意識することもできる(両者の関係については,別の機会に紹介したい)。ちなみに,詐害行為取消権と債権者代位権は,「協働」するケースがある。この両者の貴重な「協働」について問われたのが,司法試験平成23年度民法設問1(2)である。


▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!一人前の受験生なら、ものごとの本質をつかみたい。「忙しい」。それが、どうした。「疲れた」。休むかクリニックに行けば…。君は、プロフェッショナルになるのだから、他人の前で、愚かな言動をしてはいけない。

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