行政法

行政法ドリルNo.1[問題編]

 


【初めに】
今週から,行政法・商法を中心に出題します。これら2つの科目は,他の科目に比べると,本試験において同一の事項が繰り返し出題される傾向が強いといえるでしょう。そのため,出題頻度の高い事項について習熟しておくことが必要です。
重要事項を習熟するための手段として最も有効なのは,当該テーマを扱った演習問題を“ドリル”のように何度も繰り返すことです(このコンセプトは,スクール東京出版の「民法ドリル」に倣ったものです)。
簡易式の事例問題は,長大な本試験問題に比べて気軽に取り組みやすく,かつ“ドリル”のように反復継続的な演習に適しているという利点があります。簡易式の事例問題とはいえ,扱うテーマは本試験問題と共通するものです。そのため,簡易式の事例問題の反復継続的な演習を通じて重要テーマを確実に押さえて行けば,予備試験・司法試験特有の長文問題にも充分対応することができるでしょう。
簡易式事例問題は,主に短答式過去問を論文仕様にアレンジ(場合によっては,論文式試験を簡易式にアレンジ)した形で出題します。
今回から始まる簡易式事例問題を通じ,行政法・商法の重要論点・概念の理解を確実なものとし,これらを自在に使いこなせるようにしましょう。
なお、偉人の言葉はお休みします。

【設問】
次の記述の正誤とその理由を答えよ。

公共施設の管理権限を有する行政機関が都市計画法に基づく開発行為の許可を申請しようとする者に対して同法第32条第1項の同意を拒否する行為は,公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為といえるところ,この同意が得られなければ,公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことができないことからすると,上記の同意を拒否する行為は,それ自体が開発行為を禁止し,又は制限する効果を持つものといえるから,国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものとして,処分性が認められるものといえる。
(参照条文)都市計画法
第30条 前条第1項又は第2項の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は,(中略)次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一~五 (略)
2 前項の申請書には,第32条第1項に規定する同意を得たことを証する書面(中略) を添付しなければならない。
第32条 開発許可を申請しようとする者は,あらかじめ,開発行為に関係がある公共施 設の管理者と協議し,その同意を得なければならない。
(略)
第33条 都道府県知事は,開発許可の申請があつた場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(中略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又 はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。
一~十四 (略)
2~8 (略)

【出典】
短答式過去問の21-31アをアレンジして出題。

【分析の視点】
本問の出題意図は,「処分」の定義を事案に応じて使いこなすことができるかどうかである。
「処分」性の有無は,論文式試験頻出の論点である。本問を解くために必要なことは,参照条文を活用しながら,「処分」性の定義にあてはめることだ。具体的には,「処分」性の定義を構成する要素(=「公権力性」と「直接具体的法効果性」。特に「公権力性」については忘れがちなので,意識して押さえておきたい。)を整理し,それら要素に都市計画法32条1項の「同意」の意味する内容と照らし合わせる。その際,「同意」は,誰に向けて行われる行為なのか(誰のどのような権利義務について,いかなる影響を及ぼすのか)を意識することが大切だ。なお,本問を解くためには,下記に挙げる知識を確実にしておくことが求められる。いずれも短答・論文式共通して重要である。

【確認すべき知識】
➀「処分」の定義(「公権力性」と「直接具体的法効果性」)
②行政の内部行為の具体例
③行政の内部行為に「直接性」はあるか

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