行政法

行政法ドリルNo.4[解答編]

 


【設問】
次の記述について解答せよ。

➀「違法性の承継」の定義
先行行為の出訴期間経過後にもかかわらず,後行行為に対する取消訴訟で,先行行為に存在する瑕疵を理由に先行行為を前提とする後行行為も違法であると主張できるとする理論をいう。
②「違法性の承継」という概念を検討する実益はどこにあるか。
仮に後行行為の取消訴訟で先行行為の違法性(瑕疵)を主張できるとすると,行政処分をめぐる法律関係の早期安定を図る出訴期間制度(行訴法14条)の趣旨を没却する恐れがある一方,先行処分の違法性(瑕疵)を主張する者の手続保障(=実効的な権利救済の手段確保)にも配慮する必要がある。そこで,両利益を調整するために「違法性の承継」を検討する実益がある。
③「違法性の承継」における先行行為に「処分」性は認められるか。
認められる。➀の定義及び②の実益からも分かるように,先行行為に「処分」性が認められないとすれば,あえて(条文にない)「違法性の承継」という概念を創出して議論する必要はない。なぜなら,先行行為に対する取消訴訟の出訴期間を問題にする必要はなく,「処分」性が認められる後行行為の違法性(瑕疵)を主張し,後行行為に対する取消訴訟を提起すれば足りるからだ。
④「違法性の承継」を認めるⅠ必要性(守るべき利益)は何か。これに対し,「違法性の承継」を安易に認めることでⅡ発生が懸念される弊害は何か。
Ⅰ必要性(守るべき利益)は,私人の権利利益である。先行行為の出訴期間が経過したことをもって取消訴訟の提起を一切認めないとすることは,私人の権利救済の観点から妥当ではないからである。
⇒先行行為に処分性が認められる場合,後行行為の取消訴訟でその違法性を主張することは,出訴期間を定めた法の趣旨を没却するものであるから,「違法性の承継」は原則として許されない。
Ⅱ懸念される弊害は,法的安定性が害されることである。先行行為も「処分」であり,既に出訴期間が経過していることからすれば,後行行為に対する取消訴訟で先行行為の違法性を主張することを認めれば,先行行為によって形成された法律関係を覆すことになって利害関係人に影響を与える。そのため,「違法性の承継」を安易に認めるべきではない。
⑤「違法性の承継」が認められるための判断枠組みは何か。
私人の権利保護と法的安定性の調和の観点から,(ⅰ)先行行為と後行行為とが同一目的を達成するために行われ,両者が結合して初めてその効果を発揮するものであり,(ⅱ)先行行為について,その適否を争うための手続保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているとはいえない場合には,例外的に許される。
⇒④で言及した原則論及びその修正論を意識しよう。
⑥「違法性の承継」の理論を援用して,後行行為の取消訴訟を提起しようとする者(原告適格が認められることを前提とする)が先行処分の存在を知り得た場合,その者は,後行行為の取消訴訟において,先行行為の違法性を主張することは不合理か。
原告においては,先行行為によって直ちに不利益を受けるとは限らず,後行行為がなされた段階で初めて不利益が現実化すると考え,その段階までは争訟の提起という手段は執らない旨の判断をすることが不合理というわけではない。

【原則論の重要性】
原則論を意識することは,どの問題においても重要である。知識を覚えることや論点探しに没頭すると,肝心の原則論を飛ばしてしまうので注意しよう。原則論は議論の出発点である。正しく議論を展開する力を身に付ける上で,原則論の重要性を強調してもしすぎることはない。
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