行政法

行政法ドリルNo.13[問題編]


【設問➀】

行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.法令に違反する行為の是正を求める行政指導を受けた者は,原則として,当該行政指導をした行政機関に対して,当該行政指導の中止等の措置を求めることができる。
イ.上記アの求めがあった場合,当該行政機関は,必要な調査を行い,当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないことが客観的に明白である場合に限り,当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。
ウ.同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは,行政機関はその基準として行政指導指針を定めるよう努めなければならない。
【分析の視点】
ア及びイは,行政手続法における行政指導分野の規定を精確に押さえているかを問う記述である。本試験では,条文知識をストレートに問う問題が出題されることも珍しくない。そのため,条文知識の習得を怠らず,どのような角度から問われても答えられるようにしておこう。
ウは,「行政指導指針」の定義及びその在り方を問う記述である。「行政指導指針」とはいかなる指針であり,どのような場合に定立されるのか(義務の形態も含めて)を押さえておく必要がある。
なお,行政指導指針については,本問も含め過去の本試験においてもしばしば問われている(25-27イ等)。行政指導以外では,意見公募手続の対象である「命令等」(行政手続法39条1項)に当たることも重要である(同法2条8号ニ)。

【設問②】
次の文章は,食品衛生行政を意欲的に学ぶ受験生花子さんと,食品衛生行政を専門とするベテラン講師S東先生との対話である。➀から④までの下線部の各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

(参照条文)食品衛生法
第28条 厚生労働大臣,内閣総理大臣又は都道府県知事等は,必要があると認めるときは,営業者その他の関係者から必要な報告を求め,当該職員に営業の場所,事務所,倉庫その他の場所に臨検し,販売の用に供し,若しくは営業上使用する食品,添加物,器具若しくは容器包装,営業の施設,帳簿書類その他の物件を検査させ,又は試験の用に供するのに必要な限度において,販売の用に供し,若しくは営業上使用する食品,添加物,器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
2 (略)
3 第1項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 (略)
第75条 次の各号のいずれかに該当する者は,これを50万円以下の罰金に処する
一 第28条第1項(中略)の規定による当該職員の臨検検査又は収去を拒み,妨げ, 又は忌避した者
二 第28条第1項(中略)の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をした者
三,四 (略)

花子さん(以下,「花子」という。)「行政調査は,調査の相手方に任意の協力を求める調査(以下「任意調査」という。),刑罰等の制裁による間接的な強制力のみを伴う調査(以下「間接強制調査」という 。)及び直接的物理的な強制力を行使し得る調査(以下「直接強制調査」という。 )に分類することができるとのことですが,食品衛生法(以下「法」という )第28条による調査は,いずれに当たるのでしょうか。」
S東先生(以下,「S」という。)「➀条文見ておきますか。法第75条からすれば,間接強制調査ができるのは,間違いないところでしょうね,論理的に。
花子「間接強制調査においては,調査の相手方に対し,協力を拒んだら法第75条により刑罰が科されると警告すれば,調査に協力させることが容易になるのではないかと思いますが,このようなやり方には問題はないでしょうか 。」
S 「②そのようなやり方をすると,法第28条第3項違反になるでしょうね。
花子 「間接強制調査が認められている場合には,直接強制調査をすることはできないのでしょうか。」
S 「あ,いいご質問ですね。その点については議論の余地がありますね。仮に直接強制調査が認められるとしても,営業者等への報告の要求と,臨検検査及び食品等の収去とを,区別して考える必要があるでしょう。③臨検検査及び収去と比較すると,報告の要求は,その性質上,直接的物理的強制になじまないのであります。
花子 「直接強制調査が可能な場合があるとしたら,憲法第35条により,裁判官の発する令状が必要になるのではないでしょうか。法には,そのような手続について定めがないのが気になるのですが。」
S 「④所得税法による検査については,法律上,裁判官の発する令状が要件とされていな いませんが,このことが憲法第35条に違反するかどうかが争われた事例において,最高裁判所は, 強制の程度が直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達していないことを考慮要素の一つとして,憲法違反ではないという判断を下しているのであります。判例が,強制の程度以外にどのような点を考慮しているかも考えた上で,法第28条第1項による調査について検討する必要がありそうっすよね。」

【分析の視点】
「直接強制」「間接強制」等の概念を明らかにし,行政手続(行政調査)と刑事手続それぞれの比較(目的や行為態様等)を行いながら,本問で問われている事項に答えよう。例えば,「犯罪捜査」は刑事責任の追及を目的として行われる行為だが,「行政調査」はどうか。
なお,本問で問題とされている刑事手続と行政手続の関係については,憲法においても重要論点である。憲法31条や35条,38条の規定を形式的に見ると,あくまで刑事手続のみを対象としているように見えるが,行政手続については,刑事手続に当たらないという理由によってこれら規定の保障の枠外にあるとすべきではない。もっとも,行政手続は,刑事手続に比べるとより広範な場面で行われる手続であり,その態様もより多種多様だ。そのため行政手続に対する保障の程度は一様ではなく,個別具体的な比較衡量より決せられる。
なお,問題文に参照条文が掲載されている場合,参照条文の該当箇所を文字通り参照しながら解くことが大切だ。

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