刑法

あの江夏投手の言葉(2)

司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! プロ野球の大投手だった江夏豊さんは、現役時代、覚せい剤問題などでトラブルが多発。引退後も、仕事や家庭で、困難が続いたという。それでも、負けない。現在は、66才で野球評論家や臨時コーチなどでプロ野球界に貢献している。
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<江夏豊さん(元プロ野球投手)の言葉>
「人間は、決して一人で生きていかれへん」
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現役時代、“球界の一匹狼”“孤高の大投手”といわれた江夏さんも、いろんな、ご苦労をされた。このブログを読んでいる君は、若い時代に1流の人たちの長所・短所を習得すれば、人間として幅と実力がつく。
では、昨日の答えを示します。
【解答】刑法No.10
 ① 特定かつ少数人の者に事実を摘示した場合、不特定または多数人への伝播可能性があったとしても、名誉毀損罪が成立する余地はない。
 → × 大判大正8年4月18日は「伝播すべき事情があるに於いてはこれを公然と称するに妨げない」としている。
 ② 真実を摘示した場合には、名誉毀損罪が成立する余地はない。
 → × 真実を摘示しても、社会的名誉が害される場合がある。
 ③ 法人に対しては名誉毀損罪が成立しない。
 → × 大判昭和15年3月24日は法人が名誉毀損罪の客体となることを認めた。
 ④ 私人の私生活上の行状も230条の2の「公共の利害に関する事実」にあたる余地がある。
 → ○ 月刊ペン事件(最判昭和56年4月16日)参照。
 ⑤ 事実を摘示したが、実際にはその者の名誉が侵害されなかった場合には、名誉毀損罪が成立する余地はない。
 → × 大判昭13年2月28日
よって、 ④ のみ正しいので、正解は1つである。
【注】
 ① 230条の名誉棄損罪の構成要件に「公然と」とある。その「公然性」があるか否かに際して検討されるのが伝播理論である。従来、判例は伝播可能性があれば公然性を認めていた。ただし、8人の役員しかその場にいなく、「伝播の虞なきが如き」である場合、公然性が否定されたもの(大判昭和12年11月19日)もある。よって、特定人あるいは少数人という視点だけでなく、伝播可能性も併せて二段階で公然性を判断すべきであろう。 問題の出発点は、条文の文言にある。どの文言の関係で、議論しているかを明確に認識することが重要である。
 ② 外部的評価を名誉毀損罪の保護法益とした場合、その中には規範的名誉のみならず、事実的名誉(社会的名誉)も保護されると考えられる。230条の2において、摘示した事実が真実の場合であっても、それが「公共の利害に関する事実に関わり」かつ「その目的が専ら公益をはかること」であることが必要とされる。この規定は、「名誉権」の対局に位置する利益である「表現の自由」を基礎としているものと考えられる。「名誉権」は、人格権の一つとして憲法上「幸福を追求する権利」の一種として保障される人権である。他方で、「表現の自由」も憲法21条1項で保障される人権である。したがって、2つの対立する利益の調和の観点から、「表現の自由」として、特に保護すべき「公共の利害に関する事実に関わり」かつ「その目的が専ら公益をはかること」であり、それが「真実であれば」、社会的に相当な行為として違法性が阻却されるのである(どの犯罪構成要素が阻却されるかについては争いがあるので注意されたい)。
 ③ 法人も社会的評価がなされ、特定の人格を有する団体の名誉も名誉毀損罪の保護法益に入ると解されている。名誉毀損罪の成否において名誉感情を考慮する必要はない。230条の構成要件に「人」とある。したがって、「人」に法人が含まれるかが問題となる。確かに、文言上は、「人」とある以上、自然人のみとも思える。しかし、名誉棄損罪の保護法益は、外部的名誉である。したがって、法人にも社会的活動実態がある以上、「外部的名誉」が存在する。刑法の目的は、社会的相当性を逸脱した法益侵害及びその危険性から法益を守ることにある。そのため、法人にも保護すべき「外部的名誉」が存在する以上、法人も230条の「人」に含まれると理解するのである。構成要件においては、法益保護の目的から、目的を達するために、解釈を行うことが重要である。
 ④ 「私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合があると解すべきである」と判示されている。
 ⑤ 名誉毀損罪は抽象的危険犯であり、社会的評価を低下・減少させる事実の摘示があれば成立する。実際に名誉ないし社会的評価が低下したかどうかは犯罪の成否に関係がない。確かに230条は、「毀損した」とあり、実際に名誉が毀損されたという結果が発生しない以上、構成要件に該当しないと思われる。しかし、実際に毀損したという結果が発生しない限り処罰されないのでは、外部的名誉を侵害する現実的危険性があるにも関わらず処罰されない場合があることとなり、不当である。他方、条文からくる罪刑法定主義の要請も無視できない。そこで、「抽象的な危険が発生した」ことを構成要件的結果として「毀損した」と読むことにより罪刑法定主義との整合性を図るのである。構成要件のどの文言で論点になるか、条文の文言を意識することが重要である。
本問題においては、「保護法益」、「公然性」、「公共の利害に関する事実」などの基本論点を始め、名誉毀損罪の射程を考えれば、「真実性の錯誤」や「侮辱罪との区別」などの論点も隠れている。これらに関しては判例の集積があるので、下級審も含め、裁判所の見解を正しく適切に理解することが必要である。
とりわけ、伝播理論については、可能性の有無と、特定不特定・少数多数人の2つを天秤にかけて検討する必要がある。この検討方法は正しい判例の射程を検討することから生まれるのである。
判例を覚えるだけでなく、その背景・その射程を吟味することが大切である。そして、理解の出発点として、条文のどの文言が争点となっているのか。また、刑法の目的である法益保護の必要性と罪刑法定主義の許容性から、判例がどのように解釈を行っているかを学ぶことが重要である。
刑法では、基本を重視し、論理的段階的に思考することが必要である。
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