▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ! まず、コツコツ机に向かう。ピントを合わせて勉強すれば、必ず合格する。その後、実務で、立派な実績を残す。
今日は、昨日に続いて、フェンシング界のエース・太田雄貴選手(29)に登場してもらう。
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<フェンシング・太田雄貴選手の言葉>
「優勝のタイトルは、すごく意味がある。これを若い世代に引き継いでもらいたい」
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頂点に立つことは、素晴らしい。君もいつか、同じ気持ちを味わってほしい。まず、合格だ!
それでは、昨日の答えを示します。
【解答】刑法No.13
本設問は刑法185・186条の賭博の罪に関する理解を問うものである。
① 1回の賭博行為であっても、常習賭博罪が成立し得る。
→常習者とは、賭博を反復・累行する習癖のある者をいう。行為の回数は常習性と関係がない。
賭博を反復・累行する習癖のある者であれば、賭博罪の保護法益である勤労の美風に対する法益侵害が単純賭博罪よりも、類型的に強く認められるからである。
→常習賭博罪が成立し得るので、本肢は正しい。
② 常習賭博罪における「常習性」が認められるためには、賭博の前科が必要である。
→常習性の認定の際に賭博の前科が用いられることは多いが、必ず前科が必要だということではない。賭博を反復・累行する習癖さえ認められれば、常習賭博罪が成立する。
常習性は、開かれた構成要件であるため、社会通念で裁判官が諸般の事情を考慮して社会通念で判断するものである。
→よって、本肢は誤り。
③ 常習者甲が、非常習者乙の賭博行為を教唆した場合に、甲には常習賭博罪の教唆犯が成立する。
→常習賭博罪は、加減的身分犯(不真正身分犯)と考えられる。
単純賭博罪と常習賭博罪は、賭博を行う点では実行行為が同じである。したがって、「常習性」という身分により、刑が加重されているといえるからである。乙は常習の身分がないので、「身分により特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する」と規定する65条2項により、賭博罪が成立するが、甲は身分を有している。よって、甲には常習賭博罪(教唆)が成立する。
→本肢は正しい。
④ 煎餅を掛けて花札をやる際、花札を配り始めた瞬間に賭博罪の実行の着手がある。
→「一事の娯楽に供する物」を賭けた場合、賭博罪は成立しない。煎餅は「一事の娯楽に供する物」に該当する。よって、賭博罪は成立せず、本肢は誤り。
「一事の娯楽に供する物」を賭けた場合、賭博罪は成立しない。
刑法の謙抑主義により、処罰の必要性が生じるのは、社会的相当性を逸脱した法益侵害があった時である。そこで、社会的相当性を逸脱した法益侵害があった場合にのみ、賭け事という行為は構成要件に該当すると理解するべきである。
本肢のような場合は、社会通念に照らして相当といえる以上、構成要件に該当しないと考えられる。「一事の娯楽に供する物」を駆けた場合、賭博罪は成立しないとする意味を考えることが重要である。※(可罰的)違法性が阻却されると考える見解も存在する。
⑤ 負けた者が500円のアイスを買うという約束の下、500円を賭けて花札を行った場合、賭博罪が成立する。
→500円という「金銭」は、通常その場で娯楽のために消費するような性質のものではないから、原則として「一事の娯楽に供する物」には該当しない。しかし、本事案においては、この500円はすぐにアイスという「一事の娯楽に供する物」に変わる。よって、よって、賭博罪は成立せず、本肢は誤り。
本肢のような場合は、社会通念に照らして相当といえる以上、構成要件に該当しないと考えられる。「一事の娯楽に供する物」を駆けた場合、賭博罪は成立しないとする意味を考え、同様の事態が発生していることが重要である。
よって1・2・1・2・2が正解となる。
【注】
① 賭博の常習者とは、賭博を反復・累行する習癖のある者をいう(最判昭26・3・15)。従って、必ずしも職業的に賭博を行う者である必要はない。この習癖が認められる以上は、1回の行為でも本罪に該当し得る。
② 常習性の認定は、(ア)賭博の前科(イ)賭博を反復事実(ウ)賭博の種類(エ)賭け金の額等の諸事情を考慮して決定される(最判昭24・2・10)。そして、判例は最決昭54・10・26において、それまで賭博行為をしたことのないプラスティック加工業者に対し、「長期間営業を継続する意思の下、多額の資金を投下し、多数の賭博遊技機を設置した遊技場の営業を開始した」点につき常習性を認めている。したがって、「常習性」が認められるためには、必ず賭博の前科が必要になるわけではない。
③ 判例は、甲には「常習」という身分がある以上、重い常習賭博罪の教唆犯を認めている(大判大3・5・18)。
④ 「一事の娯楽に供する物」を賭けたにとどまるときは、賭博罪は成立しない(185条但書)。そして、「一事の娯楽に供する物」とは、関係者が即時娯楽のため消費するような物をいう(大判昭4・2・18)。したがって、煎餅は賭博罪の客体にはあたらず、よって、実行の着手はない。ちなみに、仮にお金を掛けていた場合は、花札賭博において、花札を配布し始めたときは本罪が成立するものとされている(大判大6・11・8)。
⑤ 判例は、「一事の娯楽に供する物の対価を負担させるため一定金額を支払わせた場合」は、賭博罪を構成しないとする(大判大2・11・19)。アイスなど飲食物は、「一事の娯楽に供する物」にあたる。アイスの対価である500円はすぐにアイスに代わり、娯楽に供する物として費消される。よって、賭博罪は成立しない。判例は、賭博罪の保護法益を、公序良俗、すなわち健全な経済活動及び勤労への影響と、副次的犯罪の防止であるとしている(最大判昭25・11・22)。よって、軽微なもの、つまり「一事の娯楽に供する物」などの賭け事は処罰されないのである。判例の見解を理解すれば初見の事例問題も解けるようになる。適切に判例を理解することが必要である。
さあ! 今日も面白く、“カク―――ン”と“爆勉”しよう! 絶対合格!!
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【成川先生の合格語録】
「いつか、頂点に立つ!」
【家族からのレター】
Q:妹が専業受験生で予備試験を受験しています。毎週末は、友達から旅行や遊びの誘いがあります。たまに、遊ぶのなら気晴らしになっていいと思うのですが、出かける機会が多すぎる気がします(大阪府、合格ネーム・MKさんの兄)。
A:私は常々、「受験生は、週半日の気分転換の時間をとれ」といっています。勉強を朝5時~13時までやり、13時からは何をしてもいいのです。半日もあれば、日帰り旅行だってできます。しかし、それ以上はダメ。よほど遊びたければ、受験を止めるか、合格してからにするか、どちらかに決めなさい、とアドバイスを。
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