民法

民法No.75[事例式演習]解説編/草間彌生の言葉(2)


 法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!「人は、朝に生き、夜に死す」。一日一生である。このへんのことについて、世界的な前衛芸術家、草間彌生さんは、こう述べている。

<草間彌生の言葉(2)>
「生死を超えて闘って行く。これから、私の人生が始まる。これまでは、序曲です」

▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!勉強や仕事は、闘いである。生死以上のものである。自分なりに、納得して、一瞬一瞬、進んで行く。人間は、やれるものである。
 それでは、昨日の答えを示します。


民法No.75[事例式演習]解説編
本問では,KのYに対する貸金債権は,支払期限から10年が経過している。
この事実から,Iは,KのTに対する貸金債権が,時効により消滅している(167条1項)ことを主張するだろう。当該貸金債権は,甲不動産に設定された抵当権の被担保債権なので,当該貸金債権が時効により消滅すれば,抵当権もまた消滅し,Kが甲不動産に対して有する
第1順位の抵当権設定登記の抹消を請求することができるからである。
そこで,Iとしては,145条によりYの消滅時効の援用を主張する。
しかし,この時効援用権の主張は,否定される。後順位抵当権者は,判例に従えば,145条の「当事者」といえないからである。これは,短答式試験でも頻出の知識なので,併せて押さえておこう。
では,他にIが主張できることはないか。注目すべき事実は,「Tの無資力状態」である。
Tは,Iの債務者である。債務者が「無資力状態」であることから想起すべきは,債権者代位権の行使である(423条1項本文)。Iは,TのKに対する消滅時効の援用権の代位行使を主張することになる。
後順位抵当権者であるIと異なり,Tは物上保証人である。そのため,判例に従えば,Iと異なり145条の「当事者」にあたる。145条の「当事者」の該当性に関するIとTの違いとその理由については,これを機会に確認しておこう。これも短答式試験における頻出事項である。消滅時効の援用権の行使にあたっては,423条1項ただし書(債権の一身専属性)の検討も必要である。結論としては,消滅時効の援用権は一身専属性をもつものではないが,その理由については,判例等を通じて押さえておくべきだろう。また,典型的な一身専属性をもつ権利との比較を通じて理解することも大切だ(この論点も,短答式試験においてしばしば出題されている)。
そうすると,IによるTの消滅時効の援用権の代位行使は認められそうであるが,Kの反論も想定した上での検討が必要である。Kとしては,「Tが残りの債務も代わって弁済する旨繰り返し申し出た」ことを捉え,147条3号の「承認」による時効中断効が認められると反論するだろう。このKの反論の認否については,しっかり検討する必要がある。検討の際に意識すべきは,147条3号の「承認」により時効中断効が発生することの趣旨と,物上保証人の法的立場である(債務者との比較。具体的には,債権者に対して負うべき「責任」の内容の違いに着目して分析)。結論としては,物上保証人が,債務者の債務の存在を,消滅時効の中断効を発生させる形で「承認」することはできないと見るべきだろう。
しかし,Kは,Tによる申出を信じてYに対して上記貸金債権について特に時効中断の手続をとらないままであった。そこで,Kとしては,Tの言を信頼したことが法的保護に値するとして,信義則(1条2項)を根拠に、消滅時効の援用権行使が例外的に否定されるべき(消滅時効の援用が特段の事由により修正されるべき)と反論することが考えられる。このKの反論の認否についても,先の147条「承認」同様,しっかり検討する必要がある。その際,あくまで明文に従えば,貸金債権は消滅時効の要件を充たし,Iは,Yに帰属する時効援用権を代位行使可能である旨を確認しておくことが大切だ。また,信義則により原則論を修正する際には慎重でなければならない。信義則は,あくまで例外として持ち出すべき概念だからだ。とりわけ,時効制度は,事実状態の尊重と安定性の維持が求められる。そのため,個別的属人的要素の強い信義則により時効の援用権を修正するためには,よほどの事情が必要であろう。本問のKは,たしかにTの言を信頼したという事情があるものの,この信頼を保護してまで消滅時効の発生及び援用権を否定することまで可能だろうか。
Kとしては,たとえTの言を信頼したとしても,それにとどまらず,権利行使を確実にするために具体的な方策(147条1号「請求」)を講じるべきであったし,講ずることができないようなやむを得ない事由も存在しなかった。
こうした事情に着目すると,Kの信義則に基づく反論は認めがたいであろう。
[留意事項]
以上は,解答ではなく,本問で生じうる問題点の指摘を中心としている。各問題点の解決の方針(判例が固まっているところは判例の考え方)については,テキストで確認し,検討して頂きたい。また,本問で検討が求められている問題点の多くは,短答式試験でも繰り返し出題されている。短答式過去問の検討をしっかり行うことも重要だ。


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