刑法

無銭飲食の罪/山本周五郎の言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!勉強というプロセスを、面白くとらえると、結果は“吉”または、“大吉”になる。結果は、自分の“好きな絵”になるようにしてください。銭カネだけでなく、夢を実現したいものです。かの優れた作家、山本周五郎は、作品の節々で語っている。


<山本周五郎の言葉(2)>
「この世で生きてゆくということは、損得勘定じゃあない。短い一生なんだ。自分の生きたいように生きるほうがいい」


▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!面白く楽しい、人生を送ってください。そのために、好きなことや好きな勉強をしてほしい。その際、嫌いな勉強を好きになることも、合格ノウハウのひとつだ。
 では、昨日の答えを、示します。


刑法No.26
 今回のテーマは、詐欺罪の無銭飲食の事案である。まず、①代金を支払う意思が始めからなかった場合と、②飲食後にその意思が生じた場合、の2つに分けて検討する必要がある。
①甲は飲食店に入り、無銭飲食をするつもりで料理を注文した。
→詐欺罪は、「人を欺く」欺罔行為が開始した時点で実行の着手が認められる。→そして、支払う意思がないのに注文をする行為は、欺罔行為あたる。
→しかし、店員は錯誤に陥っているものの、未だ財産処分行為はなされていないことから、1項詐欺罪の未遂が成立する。
②甲は飲食店に入り、無銭飲食をするつもりで料理を注文し、運ばれてきた料理を食べた。
→①と同様に、支払う意思がないのに注文をする行為は、店員に対する欺罔行為といえる。
→そして、それに基づいて交付された料理(=財物)を受け取った時点で、財産処分がなされているのであるから、1項詐欺罪の既遂が成立する。
③甲は飲食店に入り、無銭飲食をするつもりで料理を注文したが、店員は甲の身なりから、無銭飲食であろうと見抜いた。しかし、甲を不憫に思った店員は、料理を運び、甲はその料理を食べた。
→①と同様に、店員に対する欺罔行為がある。しかしながら、店員は、「不憫に」思って料理を提供していることから、その財産処分行為が錯誤に基づいているとはいえない。
→したがって、欺罔行為と財物の取得との間に必要な因果関係を欠くから、1項詐欺罪の未遂が成立する。
④甲は飲食店に入り、料理を注文し、運ばれてきた料理を食べた。その後、財布がないことに気づき、店員に気付かれないように逃走した。
→飲食物の提供は店側の意思で行われているため、窃盗罪にいう「財物を窃取した」とはいえない。また、代金債権は財物ではない。
→さらに、店員に対する欺罔行為も存在しないので、詐欺罪にもあたらない。
→よって、利益窃盗として不可罰となる。
⑤甲は飲食店に入り、料理を注文し、運ばれてきた料理を食べた。その後、財布がないことに気づき、店員に「財布をとってくる」と言い、店から逃走した。
→店員に対し、「財布をとってくる」と嘘を言う行為は、欺罔行為にあたる。
→そして、店員は錯誤に陥って、甲に対する代金債権の行使を行わないという、債務免脱の処分行為をしている。
→代金債権を免れることは、財産上の利益にあたる。嘘をついて逃げる場合は支払いを免れて財産上の利益を得るので、2項詐欺罪となる。
①詐欺未遂罪(246条1項、250条)
②詐欺罪(246条1項)
③詐欺未遂罪(246条1項、250条)
④不可罰
⑤詐欺罪(246条2項)
【注】
 判例は、錯誤者に意識的な処分行為が必要と解していることにも留意しておこう。
 無銭飲食事例においては、料理が財物であることを前提に、まず1項詐欺罪の可能性を検討する。つまり、①代金を支払う意思が始めからなかった場合と、②飲食後にその意思が生じた場合、に分けて検討することが必要である。
 論文試験においては、2項詐欺罪と1項詐欺罪を区別しないと減点される。また、処分行為の有無や因果関係を考慮し、未遂・既遂を検討することも重要である。
 詐欺罪は頻出の単元なので、しっかりと定着させておきたいところである。


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