民法

【事例式演習①】解答編/ニーチェの言葉(2)


 司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!「目的」に向かって「手段」として、前へ進むべきである。しかし、いつも進むことばかりはできない。左右を見たり、すこし立ち止まったりすることも、あり得る。世の中は、自分の思うようにいかないことも、多々、あるから。そこで、調整する能力も必要となる。この点について、ドイツの哲学者ニーチェは、語っている。

<ニーチェの言葉(2)>
「人は常に前へだけは、進めない。引き潮あり、差し潮がある」

▼司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!調整能力がある人が、進歩するのである。勉強も同じ。スランプ時も、それなりに対応する。例えば、復習を中心にしたり、受験情報の整理をしたりする。
 では、昨日の答えを、示します。


民法No.59【事例式演習①】解答編
1 第三者弁済(474条1項本文)
(1) Aは、BのCに対する500万円の消費貸借契約に基づく債務(587条)を、第三者の弁済という方法(474条1項本文)で、Kとの合意によらずに消滅させることができる。
以下、この方法が可能である理由を述べる。
(2)たしかに、Aは、Bと「利害関係を有しない第三者」(474条2項)である。
Bは、既に20歳の「成年」(4条)であり、Aの「親権に服」(818条1項)さない。そのため、Bの「親権を行う者」ではないAは、Bの財産管理の責任を負わない(824条本文)から、Bが債務を弁済しないからといって、AがKから責任追及を受けるわけではなく、Aは、Bと法律上の「利害関係を有しない」。
(3)では、BがAの世話になりたくないと言って、Aの弁済を拒否する態度は、474条2項の「債務者の意思」として保護されるべきか。
474条2項が、「債務者の意思」を保護する趣旨は、法律上の「利害関係を有しない第三者」から、求償されること(499条、501条)を避け、自己決定を尊重することにある。
そうすると、債務者が第三者から求償される状況になく、かつ債務者の意思が尊重に値しなければ、当該「債務者の意思」を保護する必要はなく、474条2項の趣旨は妥当しない。
本件の場合、Aが、自分の息子でかつ資産がなく無職のBに求償することを期待して弁済するとはいえない。あくまでBの窮地を救済する親心で弁済するのである。一方、資産がなく無職で資産のないBは、Aと生計を一にしている可能性が高く、Aの扶養(730条、877条1項)を受けている。そうすると、Aの「扶け」がなければ、Kに借金を返済できず、Kの債権回収の利益も害する。そのため、Bが自ら借金を返済する旨の自己決定は尊重に値しない。本件AのKに対する返済は、「債務者」Bの「意思」に反するとはいえない。
したがって、Aは、Kに第三者弁済の方法で弁済し、Bの債務を消滅させることができる。
2 連帯債務
(1)Aは、Bと「連帯」して、Kに500万円の「債務を負担する」形式を採り、500万円全額をKに弁済する方法でBの債務を消滅させる(432条)ことを考える。この方法は、同一の立場で債務を全額負担する者が増えて債権者の債権回収を円滑にするため、債権者の合意を要しない。しかし、この方法は認められない。理由は以下のとおりである。
(2)たしかに、上記1で述べたように、Bの意思は尊重に値しない。
しかし、債務者となる者同士では、「連帯」特約という主観的な共同目的が必要であり、意思の尊重では足りず、当該特約に積極的に応じてもらう必要がある。
AB間で「連帯」という主観的な共同目的を生じさせることまでは期待できない。なぜなら、BがAの助力による債務弁済を拒否することから、この「連帯」特約に応じない公算が高いためである。(以上、1137文字)
[留意事項]
 本件事案におけるBの意思を法的に保護すべきかどうかに着目した検討が必要である。Bの発言そのままに、474条2項を適用し、Aによる第三者弁済を否定する結論も、もちろんありうるだろう。しかし、それだと事案に即した検討に基づき妥当な結論を出すという点で物足りない。難しい

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