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「医学部受験ブログ開設にあたり」
このブログは、あなたの医学部合格のために必要な情報を絞ったものです。「面白い」「合格できる」が、ポイントです。私の受験時代を含めたら60年間のノウハウを公開します。将来、医師になられる高校生や浪人生に、心を込めて合格の「心の科学」を提供いたします。午前4時から、お楽しみに!
スクール東京
最高名誉顧問
成川豊彦
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法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!
権力のある人は、“発展家”でもある。ロシアの女帝、エカチェリーナ2世は、次のように嘆いている。
<エカチェリーナ2世の言葉(2)> |
「これからは、1人でこのロシアを治めなければならないのか」 |
▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!
彼女は、ロシア史上、最大の女帝だったが、色多い女性でもあった。愛人の死に際して、権力とのあい間で、悩んだことだろう。
では、昨日の答えを、示します。
民法テストNo.2[解答編]
参考文献
佐久間毅 民法の基礎1[総則・第3版]基礎2[物権・第3版](有斐閣・2008・2006)
道垣内弘人 担保物権法[第3版](有斐閣・2008)
スク東先生 スク東先生ブログ・同Twitter(スク東先生・2016~)
次の記述(②⑥についてはその正誤)について答えよ。
➀(1)96条3項「第三者」の定義。
(2)代理人が相手方を詐欺して売買契約を締結したため,相手方はこれを取消した。本人は,相手方に対し,「私は96条3項「第三者」に当たるため,あなたの詐欺取消しは私に対抗できません。ご確認いただければ幸いです。ご不便をお掛け致します。」などと慇懃に反論した。この反論は正しいか。
【解答】
(1)96条3項「第三者」とは,当事者及びその包括承継人以外の者で詐欺による法律行為に基づく法律関係(取得された権利)について新たに独立の法律上の利害関係をもつに至った者,すなわち取消しの遡及効により影響を受けるべき取消前の第三者をいう。
⇒「取消後に現れた第三者」との関係についても整理しておこう。いわゆる「復帰的物権変動の観念」により解決する場面である。なお,「復帰的物権変動」の場面では,177条が適用されることになるが、177条の適用場面からといって「第三者」の意義を論点として延々と論ずるべきではないことに注意。ケースに応じて論ずべき事項を確定させる視点が大切だ。
(2)正しくない。本人は「当事者」なので,(1)で示した96条3項「第三者」ではない。
②相手方の欺罔により意思表示をした者は,96条3項「善意の第三者」に当たる者が出現した場合,その意思表示を取消すことができない。
【解答】誤っている。欺罔による意思表示について,取消すことは可能だ(96条1項)。取消しの効果を「善意の第三者」に「対抗することができない」(96条3項)のである。換言すれば,詐欺取消の効果については,「善意の第三者」との関係において効力を生じないといえるだろう。
③Aは,Hの代理人として,付与された権限に従ってH所有の土地をOに売却した。ところが,Aは,かかる売却代金を着服した。このケースにおいて,Oは,Aへの効果帰属を主張することができるか。
【解答】原則として主張できる。Aは,Hの名で代理権の範囲内で行為しているから,AがOとの間で締結した売買契約の効果はHに帰属する。ただ,Aの行為は,代理権の濫用と言うべきであり,心裡留保(93条本文)と類似の構造をもつ(代理権の濫用と心裡留保は,いずれも「ハラの中と外ヅラがずれている」という点で類似しているのだ。Aは,「Hさんのためです」と言いながら,内心は「この金で遊びに行こう」と考えているのである)。そのため,Oが,Aの内心を知り又は知り得たのであれば,93条ただし書類推適用により,AとOの売買契約の効果はHに帰属せず,OはHへの効果帰属を主張できない。
⇒「類推適用」を巡る議論については,「スク東先生ブログ」2016年9月12日付記事「類推適用はカッコいい」も参照。ここでいう「カッコいい」は,「容姿端麗である」「流麗な車体である」などと同義ではないことに注意したい。「類推適用」という単語の文字列に,格調も味わいもないからだ。「類推適用という概念を用いれば,何か賢い感じを醸し出すことができる」という意味であろう。
④109条「第三者」に,転得者は含まれるか。
【解答】含まれない。109条「第三者」とは,無権代理行為の直接の相手方をいう。直接の相手方は,代理人として振舞った者の代理権の存在を信頼して取引に応ずるからである。また,代理において「第三者」といえば代理の相手方であることと(99条2項参照),転得者の保護されるべき信頼の対象は,行為者が代理権を有することではなく,前主が権利を有することだからである。そのため,転得者の保護は,権利外観法理により図ることになる。
⑤(1)条件の定義。(2)期限の定義。
【解答】
(1)法律行為の効力の発生や消滅を将来の実現不確実な事実にかからせる旨の特約をいう。
(2)法律行為の効力の発生や消滅,または債務の履行を,将来の到来・実現が確実な事実にかからせる旨の特約をいう。
⑥Gは,Zから金員を借りる際,「次期選挙で幹事長に選任されたら収入も増えるので返還します。ご不便をお掛け致します。」と申し向け,Zもこれに合意した。Gは,選挙において幹事長に選任されることはなかった。この場合,GはZに金員を返還する必要はない。
【解答】誤っている。本ケースは,「幹事長に就任したら払う」といういわゆる「出世払い」のケースである。「出世払い」の合意は不確定期限と解される。「出世する」とは,「地位が上がって収入が増えること」を一般に意味するので,「出世するかしないか」は,「借りた金を返還するだけの資力ができたかどうか」であり,いずれ明らかになる(将来の到来が確実な)事実である。そうすると,「出世払い」の合意とは,「借金を返還するに充分な資力ができる事実が到来したかどうかがはっきりした時点で払いますよ。」と合理的に解釈できる。また,「出世するかどうか」がはっきりすることは,債務を履行するのに充分な資力ができた時点かどうかがはっきりすることと同視されよう。
⑦(1)地役権の定義。(2)地役権に抵当権を設定することはできるか。
【解答】
(1)他人の土地を自己の土地の便益に供する権利をいう(280条本文)。
(2)できない(281条2項後段)。
(1)は,条文に定義がそのまんま書かれている。(2)については,しっかり「意味を取る」(※「意味を取る」の「意味」は後述の[注]を参照)ことを通じて条文を押さえることが大切だ。あくまで筆者の私見だが,地役権に抵当権を設定できない理由は,地役権のような「便益を受ける権利」という「かたちないもの」は,担保価値の把握という担保権の性質と親和性をもたないという点に求められるのではないか。なお,地上権や永小作権は,抵当権の目的となる(369条2項)が,実際は稀だそうだ。
[注]「意味を取ること」の重要性と,「暗記中心ではなく理解中心」について
「意味を取る」は,スク東先生(以下「先生」という)のブログの言葉である。せっかくなので,今回も先生の言葉の意味を参考にしながら日頃の学習を振り返ってみよう。
まず,2016年11月の先生のブログである。「スク東先生ブログ」2016年11月28日付記事(「認知制度を理解する」)を参照頂きたい。同記事で先生が書かれた「意味を取る」とは,もちろん「うどんの出前を取る」「リンゴをもぎ取る」と同義ではない(「意味」という概念的な存在が「うどん」や「リンゴ」といった実存的な存在と同じであるはずがない)。ここでいう「意味を取る」とは,「文言に込められた趣旨・内容を正確に把握する」という意味である。先生は,「取る」を「把握する」として用いたのだろう。
次に,先生のTwitterだ。現在先生は,連日Twitterにて「理解を中心に勉強をすれば点数は伸びます。暗記中心に勉強しても頭打ちです。」とのメッセージを発信している。ここでいう「頭打ち」とは,もちろん「どこか(天井や壁とか)に頭をぶつける」ことを意味するのではない。あるいは「暗記中心に勉強すると,膨大な知識を機械的に詰むために頭が重くなり,ボーっとして注意散漫になる。注意散漫になると,歩行の際にふら付くなどして,そこいらに頭をしたたか打ち付けて悶絶。もはや勉強どころではなくなる。勉強できないから当然実力も伸びない。だから暗記中心はやめよう。」という意味でもない(そもそも「暗記中心」と「そこいらに頭を打ち付ける」との間に因果関係はない)。ここでも,「頭打ち」の「意味」を正確に「取る」ことが必要だ。正確には,「暗記中心に勉強しても,知識をケースに応じて利活用する力が身に付かないままだ。実力は一向に増進しない。だから(覚えるための工夫も含め)理解中心の姿勢が大切なのだ。」という意味であろう。
読者においては,こうした先生のメッセージを真剣に受け止め,その意味する所をしっかり自分のものにする(「行間を読む」)よう努めたい。先生のメッセージを参考にしつつ「行間を読む」力を身に付ける努力を重ねれば,「当事者目線」に立って問題文を正確に読み取り,ケース固有の争点を把握する力を涵養することができるだろう。また,こうした力が身に付けば,そのまんま使ったのでは一読了解が難しい不明瞭な言葉を,読み手(例えば採点者)と共有可能な形に変換する力も獲得できよう。
▼法務省主催の司法試験・予備試験の合格を、決める君よ!
今日の女帝の例は、「英雄、色を好む」の女性版であった。あなたが女性の場合、合格後、この件を、少し考えてみてください。面白い一日を、シャープに絶対合格!!
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また、明朝4時に、「司法試験ブログ・予備試験ブログ」でお会いしましょう!
▼本日午前4時更新の「合格ブログ(成川豊彦日記)」は、司法試験・予備試験の受験生にも参考になるので、ぜひ、ご覧ください。
【成川先生の合格語録】
「色が、英雄を好む!」
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